ゆるおに はみ出し213

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はみ出し213
「対談~バレンタイン直前会議~」

――母屋半ばの縁側――
沙羅、斎観、白威、西帝


沙羅「農園の調子はどうだ」
白威「順調です。沙羅さんの植えたワイルドストロベリーもよく育っていますよ」
西帝「沙羅さんゾーンができてるのか」
斎観「キイチゴ系はもともと山のあちこちに生えてるから、わざわざ植えるかねえ、と思ったが」
沙羅「ワイルドストロベリーは……実が成ったら恋も実ると言う……」
西帝「女子高生?」
斎観「世話を白威にさせてるんだから、白威の恋が実っちゃうんじゃねえの?」
沙羅「私が植えた苗だ」
白威「キイチゴは見かけが愛らしいので、今度のバレンタインなどに使うのもいいでしょうね」
西帝「女子高生かよ」
沙羅「バレンタインか。……いいな。お前たちは神無に何か作ったりするのか」
白威「余裕があれば作ります。今年はどうしようかな」
斎観「去年のオペラはちょい不評だったな。俺はよくできたと思うんだが、神無様には苦かったらしい」
西帝「あれ美味かったよ。俺は今年もあれがいい」
斎観「神無様のついでならいいが、お前のためにあの面倒なケーキを作るのはちょっとな」
西帝「なによいいじゃないのよ冷たいじゃない」
斎観「なんで女言葉になるんだよ」
白威「俺が作ろう。神無様にもう少し甘いチョコレート菓子と、西帝君にオペラだな。桐生君は要らないんだったか」
斎観「要らねえだろ。あいつ甘いもんそこまで食わねえし、女からもらう分も持て余すっつってた」
西帝「あれっ……男からもらうケーキを楽しみにしてる俺が言外に……あれっ……」
沙羅「……毎年お師さまに菓子を買っているが、お前にも買ってこよう」
西帝「イエーイAランクをひとつ確保」
斎観「Aランクの義理じゃねえか。何? お前、モテねえの?」
西帝「失礼ねいろいろ忙しいのよモテないわけじゃないわよ」
白威「典雅様にも何か差し上げたいが、納屋が典雅倉庫になるくらいチョコをもらってくる方だから、無意味だろうな」
沙羅「ほう。お前も典雅隊だったのか」
白威「いえ、そのような本気のチョコではなく、儀礼チョコというか。女子高で人気の若い男教師に贈る気持ちというか」
西帝「女子高生じゃん」
沙羅「典雅はあれで、誰から何をもらったかは把握しているようだから、渡せば喜ぶと思うぞ。どの女の作った菓子が美味い、という話もしている」
斎観「あの山のようなチョコ、ちゃんと食ってんだ。偉いなあ」
沙羅「お前と白威は互いにチョコレートを交換するのか?」
斎観「しませんよ。そんな薄っ気味悪い
白威「男同士でチョコレートの交換というのはちょっと」
西帝「なんか全体的に話がねじれてないか? 典雅様にはあげたいんだろ?」
白威「いや、確かに俺は男が好きだけど、別にチョコレートの交換的なことを望んでないというか、こいつは範疇ではないというか」
斎観「俺が白威にチョコやるのはともかく、逆は、なんかどうしても本命っぽくなるから、気持ち悪いだろ」
西帝「……ああ、なんとなくわかる気がする。俺は兄貴でワンクッション挟んでるから、義理だなと思って受け取るけど、直接だとちょっと怖いかも知れない。『義理だ』って言いながら渡されても、白威さんだとツンデレっぽい
沙羅「わからないでもない」
白威「自分でもわかるので、渡しやすい相手にしか渡しません。……沙羅さんは東雲さんには差し上げないのですか」
沙羅「リアクションが鬱陶しいからやらん」
斎観「辛辣」
西帝「東雲さんは親戚のおっさん的な面倒くささがありますよね」
斎観「実際に親戚だし、実際におっさんなんだから、そこは仕方ねえだろう」
西帝「白威さんは親戚のちょっと重いお姉さんって感じする」
白威「悪かったな
西帝「でも白威さんの作る菓子は、兄貴の菓子よりうまい」
斎観「そのへんは好みだろ。年寄りには俺の菓子の方が受けるぞ。材料も俺の方が良いの使ってる」
白威「良いの悪いのこそ好みだろう。お前はバターを使えば高級だと思っているようだが、植物油のほうが軽くて良い仕上がりになる菓子もある」
斎観「植物油自体は否定しねえが、マーガリンとショートニングは許せねえ」
白威「食品添加物の使い方もわからないとは呆れる。意識の高さを自慢するなら、マクロビ菓子でも焼け。大豆粉でクッキーを焼いて、豆腐を練って『クリーム』と言い張れ」
斎観「ああん? 植物性はお前の十八番だろうが」
西帝「人食い鬼が手作りの菓子のことで揉めるなよ。比べて悪かったよ」
斎観「オペラなんかどっしり菓子の殿堂だろ。俺が作った方がうまいぞ」
西帝「それは知らないけど、あんたが面倒だって言ったから白威さんが作ってくれることになったんだろ」
沙羅「その歌劇のような菓子は美味いのか」
斎観「俺は好きですよ。そういや、親父も好きだったような気がする」
西帝「わりと男も食べられるケーキだよな」
沙羅「そうか。……初心者にも作れるだろうか?」
白威「レイヤー系かつチョコレート系は、手早さと思い切りが肝要なので、初心者向けとは言いにくいですね」
斎観「お前が代わりに作ってやればいいんじゃねえの?」
西帝「ゴーストパティシエかよ。そういうのって、自分で作るから意味があるんじゃないのか? あんた女心がわかってないな」
斎観「なんでお前はわかってるような言い方なんだよ」
西帝「あんたよりはわかってるよ。あと、親父はどっちかっていうと和菓子派だよな。最近は和菓子屋もバレンタイン商戦に参入してきてるし、無難なのはそっちだと思う」
白威「バレンタイン商戦、という言葉がオタクっぽいな」
西帝「白威さんもなんか口悪くなってきてないか?」
沙羅「……確かに、別にチョコレートにこだわらなくとも、気持ちの問題なのだし……。……菓子盆でも焼くか」
斎観「えっ陶芸?
白威「ここまで恋愛下手な女性も珍しい
西帝「別にバレンタインじゃなくても、1年365日、手焼きの菓子盆贈られたら、リアクションに困るよな」

此紀「なんか女子会の気配しない?」
刹那「女子とは図々しい。お前たちなら婦人会だろう」
弥風「老人会だろ」




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