ゆるおに はみ出し233
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はみ出し233

「超うまいチーズケーキ」ができるまでの道のり~



白威白威
食品添加物親善大使。

斎観斎観
ていねいな暮らしをするタイプ。

沙羅沙羅
健啖家。

東雲東雲
辛いものが苦手。





斎観斎観
「…………」


白威白威
「……いつまで怒るつもりなんだ」

東雲東雲
「斎観さんのほうがヘソ曲げてるの珍しいっすね」

沙羅沙羅
「ああ、白威。さっきもらったチーズケーキ、美味かった」

白威白威
「恐れ入ります」

斎観斎観
振る舞うな

東雲東雲
「何があったのか全然わからん怒り方してますね」

斎観斎観
「……俺は『チーズケーキ最適解』を追求した。50個くらい焼いた」

東雲東雲
「なんか一時期、めちゃくちゃケーキ作ってたのは知ってます」

斎観斎観
「材料と焼き具合の黄金比を導き出して、さらに作りやすいように工夫して、そのへんの女でも、そう、沙羅ぴっぴでも焼けるようなレシピを開発したんだ」

沙羅沙羅
「不名誉な引き合いに出された気がするが、それは食べてみたいな」

白威白威
「先ほどのケーキがそうですよ」

斎観斎観
違うわ!

東雲東雲
「でけえ、声が」

白威白威
「別に、美味かったぞ」

斎観斎観
「まずくはなかったが全然違うだろ! お前、絶対に何か守らなかっただろ!」

白威白威
「……サワークリームをわざわざ買うのが面倒で、無糖ヨーグルトで代替した。コーンスターチも、あの微量のために開封すると残りを使うアテがないので、片栗粉で。レモンも『絶対に生のものを搾って、皮を削れ』と書いてあったが、面倒だから、ビン入りタイプのものを使って、香りは人工香料で補った」

斎観斎観
多いわ代替品が! なんで『絶対!』って赤字で書いたレモンのところまで無視するんだよ! 台もグラハムビスケット使わなかったろ!」

白威白威
「そのへんにあったクッキーを砕いて使った」

斎観斎観
「もうそれ俺のレシピの面影が残ってねえだろ!

東雲東雲
「なんか知らねえけど、美味かったんでしょう?」

沙羅沙羅
「うん、普通に美味かった」

斎観斎観
「レシピ守ってたら、普通にじゃなくて、すごく美味いやつができるんですよ! こいつ料理ヘタじゃねえけど、妥協が多いんですよ」

白威白威
「効率だ。レモン汁を使っただけ、お前のレシピを尊重している。クエン酸と香料で行こうかと思ったが、お前がうるさいから、ビン入りとはいえレモン汁を使ったんだ」

斎観斎観
「レモンの仕事を化学的に済ませようとするな!」

東雲東雲
「聞いたことねえタイプのトラブルっすけど、ファンタに果物の汁が入ってねえみたいな話?」

白威白威
「まさしくそうです。それでもファンタは支持されています。化学調味は悪ではありません」

斎観斎観
「その是非は置いといて、俺のチーズケーキレシピの再現においては、指示を守らないのが悪だと言ってんだよ!」

沙羅沙羅
「料理は味がすべてだ。この場合、指示を守ってこしらえたものが出てくるのが筋だろう。私が食べて、お前の言い分を判定しよう」

東雲東雲
「1日にそんなに何個もケーキって食えます?」


~11時間後~


沙羅沙羅
「時間がかかったな」

斎観斎観
「オーブンの中で1時間冷やして、それから外であら熱取って、そのあとで冷蔵庫の中で冷やすんで、このくらいかかります」

白威白威
「冷凍庫で短縮できるが」

斎観斎観
短縮するな。どうぞ」

沙羅沙羅
「あ、これは美味しい。すごく美味しい」

東雲東雲
「へー。俺もこれは好きだな」

白威白威
「本物のレモンを使ったほうが香りがいいというのはわかっているが」

斎観斎観
「わかってんなら使え!」

白威白威
「料理はコストパフォーマンスだ。『軽い手間でそこそこ美味い』が正義だ」

斎観斎観
海原雄山とか大谷日堂タイプの審査員にボロクソに言われて負けろ

白威白威
「俺は勝負をしない。料理を競う気がない」

東雲東雲
「実際、そんなに違うんですか?」

沙羅沙羅
「うん。点数にすると、100点と65点くらい違う。あれはあれで美味かったが、これと比べるとな」

白威白威
「お前のバカにする代替材料で、65点を取れるというのを聞いたか?」

斎観斎観
「お前は器用だし、代替のセンスも悪くはねえが、出来上がりが軽いんだよ。浅いの。主君に出そうと思ったら、代替菓子は焼けねえだろ」

白威白威
「焼くし、出しているが」

斎観斎観
「そうだよな! 神無様は甘けりゃうまいと思ってるからな! 」

東雲東雲
「師に菓子を作ろうとか考えたことねえなあ。茶を所望されることはあるが、茶だけ出してる。菓子って、召し上がりたいのかねえ?」

沙羅沙羅
「私が茶を出すときは菓子を添える。日持ちする干菓子なら、少しは私の部屋に置いているから。洋菓子は、クッキーの類が台所にあるのは知っているが、誰のものかわからんし、賞味期限も切れていることが多いので、あまり出さないな」

白威白威
「賞味期限……?」

斎観斎観
伏線回収するな。お前がケーキの台に使った、得体の知れねえクッキー、賞味期限とか見たのか?」

白威白威
「…………死にはしないだろう」

沙羅沙羅
「意外だ。お前がガサツで、斎観が神経質なのか」

東雲東雲
「斎観さんも、大雑把なとこは大雑把ですけどね。気にするところが違うんでしょう」

白威白威
「斎観の作る菓子は、トラディショナルと言えば聞こえはいいのですが、現代人には古い味です。味にせよ食感にせよ、もっと軽いほうが万人受けするでしょう。私はなにも闇雲に材料をケチッているわけではありません」

斎観斎観
美食は通俗に迎合しねえんだよ!

東雲東雲
「何目線で怒ってるんすか?」

沙羅沙羅
「でも、比べて悪いが、斎観のケーキのほうがおいしい」

白威白威
「それは認めますが、手順の省略化や、アレンジの余地はあると思います。ベイクドチーズケーキは、そもそも軽さと重さのバランスで成り立っているのですが……」

斎観斎観
「だからバランシーな比率を割り出したんだよ。黄金比だ」

白威白威
「バランシーな菓子は、つまらないだろう。一回食べる、うまいと思う。二回食べる、うまいと思う。三回目、知っている味だなと思う」

斎観斎観
「ぐう……」

白威白威
「だから100点ではなく、70点くらいに下げても、軽く飽きない味にするか。……もしくは、重さに寄せてしまって、強い個性を出すか。お前のレシピからレモンを控えて、そうだな。キャラメルを砕いて入れるだとか。チョコレートソースを添えるだとか。チーズも濃厚な種類にして、パンチを強める価値はあるんじゃないか」

斎観斎観
「俺の黄金レシピに、キャラメルだと? そんなもん……そんなもん、お前……」









刹那刹那
「お前、あの超うまいチーズケーキ知ってる?

此紀此紀
「キャラメル入ってるやつでしょ。たまに桐生が持ってくる、超おいしいやつ」

刹那刹那
「いつも一切れしかもらえないのだが、角度からして、8切れはあるはずだよな?」

此紀此紀
「あとの7切れの行方まで気にするのは、なんぼなんでも行儀が悪いわ。神無に2切れとして、桐生と白鷺で2切れ、私とあんたで2切れ。あと2切れは、製作者が食べてるんじゃないの」

刹那刹那
「いや、俺は白鷺がひそかに2切れ食っている線を睨んでいる」

此紀此紀
「そうだとしても、あんたに一切れ来るのは、白鷺のコネじゃない」

刹那刹那
「これ以上分け前が減ると困るので、他言無用ということにしないか? もっと食べたい。白鷺を通さず、直に交渉してみようかな」

此紀此紀
いい年こいてメチャクチャ卑しいわね」

刹那刹那
「魔性のチーズケーキだな……」

此紀此紀
「ケーキのせいにすな。あんたが卑しいだけやわ」









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