ゆるおに はみ出し179

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はみ出し179
「鬼スポ4号 没対談 ~色男たちの饗宴~」

一季に一度の大宴、上座寄りの一角――
此紀、桐生、刹那、典雅、東埜

此紀「そういえば最近、あんたが面倒な女を引っ掛けたとかって聞いたけど」
桐生「あっ……お聞き及びですか。恥ずかしながら、愛人の一人から『結婚してくれないなら手首を切る』と言われておりまして」
典雅「秋の風物詩だね」
東埜「秋に多いですよね。アンニュイになるのでしょうか?」
刹那「お前ら、ハードな女を相手にしているなあ」
桐生「この間は白いハンカチに赤い染みを広げた写メが送られてきました。まあそれはケチャップだったんですが、騒ぎを起こされたら面倒だなと」
此紀「食うわけにはいかないわけ?」
桐生「まだ若い娘なので、消えると家族が騒ぐと思います」
東埜「少し暴力なんかをふるってみると、向こうがすっと冷めたりすることがあるよ」
刹那「なにそれこわい
典雅「いや、暴力は素人にはあんまりお勧めできないな。下手するとさらにどっぷり惚れてくることがあるから」
此紀「宗教上の理由で結婚できない、とか適当なこと言えば?」
典雅「それは根本的な解決にならないよ。要するに、自分を一番にしてほしい、ということだろう。穏便に事を済ませたいなら、しばらく適当に受け流して、機を見て切るしかないね」
東埜「何も言っていないアドバイスですが、正直その通りなんですよね」
刹那「なぜそんな危ない女に手を出すんだ。まあ普通の女が急変することもあるが、大体は判るだろう」
桐生「厄介な女って、容姿だけはいやに良いことがあるので、つい……」
東埜「わかる。そうなんだよな。ちょっと見ないくらい美形の女だったりするんですよ」
刹那「そ、そういうもんか?」
典雅「私は見目が美しいことよりも、いい女かどうかを重視するけどね。もともと女の外見や身体に興味はないし」
此紀「いい女かどうかって、見目じゃないとしたら、どういうところで判断するのよ」
典雅「色々だけど。具体的に言うと、ホテルで風呂に入ったとき、壁や床の水滴をタオルで綺麗に拭って出てくる女なんかはポイントが高いかな」
東埜「ああ、ものすごくよく判ります
桐生「判ります。きちんとしていて、家をいつも綺麗にしている女なんかは、外での行動や仕草にもそれが出ますよね」
刹那「そうかあ? それは男慣れしすぎた大ベテランの仕事じゃないか? そういう気の利きすぎる女は、俺はちょっと引くな」
此紀「あたしはそこまでしないけど、男が脱いだ服はたたんでおくわよ」
東埜「それは当たり前では?」
桐生「風呂から出てきて、服が脱いだままの形で散らかっていると、この女は何を考えているんだと思いますよね」
刹那「自分の服を脱ぎ散らかす女はどうかと思うが、別に俺の服はたたまなくても……」
典雅「ポケットに入れていた小銭がテーブルの上で綺麗に仕分けされていたりすると、いい妻になるんだろうなあ、と思う」
東埜「そう思わせるためにやっているんでしょうけどね」
桐生「え、勝手にポケットの中を探られると、何だこの女と思いませんか?」
此紀「あんたら怖い。見方がシビアすぎるわよ。もっと優しくしてやりなさいよ」
東埜「優しくすると際限がないんですよ。すべての女が私を好きになってしまうので
刹那「お、大きく出るなあ!
典雅「女を甘やかすのは簡単だけど、病んだ女を切るのは面倒だからね。自衛手段としての取捨選択でもあるよ」
桐生「多少面倒なことを言われても許せるレベルの女だけを峻別する必要がありますよね」
東埜「そこを考えると、刹那様のやり方のほうが高リスクなのではないかと思うのですが。男慣れした女は男離れもいいですが、処女なんかべったり来るのでは?
此紀「男離れって、肉離れみたいに……」
刹那「俺は現実離れした美少年だからな。そこまで生臭い執着を向けてくる女は多くない」
東埜「そこは桐生くんも同じ条件なのでは」
此紀「いえ、桐生は骨太の美少年だから、女から見れば結構ちゃんと男よ。若い女なんかが結婚したがるのは、まあ判らなくはないわね」
典雅「刹那はそのあたりの生活力が一切なさそうに見えるからな」
刹那「一族で一番あるわ! 見かけで判断するな!」
桐生「女という生き物は、見かけというか、雰囲気がすべてなところがありますよ」
東埜「あるね。容姿の整った男が、恋愛映画のような台詞を耳元でささやくと、それだけでほとんどの女はいける」
此紀「まあ……そのあたりは否めないけど」
典雅「ま、それが可愛いとも言える」
此紀「たまには、あんたらの側が女に執着することってあるの?」
桐生「んー……?」
東埜「ああ、舌遣いの巧い女は、少し手離しがたくなりますね」
桐生「ありますね
刹那「あるな
典雅「わかる
此紀「…………」
典雅「どうした? 君は問題ないだろう?」
此紀「別にテクニックに自信がなくて黙ってたわけじゃないわよ。男って嫌だと思っただけよ」
刹那「でもお前は男が好きだろう」
典雅「それでずっと痛い目を見てるよね」
此紀「…………」
桐生「あの、……此紀様、あの……」
東埜「ここで『僕がきっと立派な男になり、あなたを幸せにします!』とか、言うだけ言っておけばいいんだよ」
桐生「いや他の女にはもちろん言いますが、此紀様にそんな無責任なことは言えないので……」
典雅「これだよ此紀。これが男の誠実さだ。君は口先だけの無責任な男に弱いから、いつも痛い目を見るんだよ」
此紀「…………男なんかみんな大っ嫌い









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