ゆるおに 鬼たちの「パラノイア」その4
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鬼たちの「パラノイア」その4
TRPG「パラノイア」を鬼たちが遊ぶ
~『ビギナー市民 蘭香のための やさしいパラノイア』その4~



UV刹那―1「翌日の朝10時。A地区の入り口には、4名のトラブルシューターが集合していた」

R万羽―5「士気高揚のためにイヤホンで音楽を聴いてるわ
R東雲―4「集中力を高めるために耳栓をしてます。あ、昨夜、市民万羽様とメールでやり取りして、2手に別れて探索しようっていうアイディアが出ました。善は急げなので、俺たちはA地区の西側に行きます! と叫んでダッシュします」
R万羽―5「いっしょにダッシュしまーす」

UV刹那―1「と一方的に叫んで、2名は西方向へ走り去った。具体的には2名のプレイヤーは隣の部屋へ行き、ここからは別行動となる」

R此紀―2「……今のは録画した?」
R蘭香―2「はい、カメラの設定はオンにしてあります。あ、今オフにしました」
R此紀―2「OK。あいつらの所属結社によっては、デブリーフィングのときに『リーダーの言うことを聞かなかった反逆者』として告発しましょう。……ところであんた、残機が減ってないわね。自殺からの洗脳解除はしなかったのね?」

R蘭香―2「ええと、いろいろ考えてみたのですけれど……。コミーはたぶん、『他プレイヤーを殺害しろ』などの任務は受けませんわよね? 少なくとも、私の所属している結社は、コミーからそれほど敵視されるところではないと思いますので」

R此紀―2「あら? 面白いことを言うのね」
R蘭香―2「え、このゲームの勝手がよくわからないので、おそらく穏健派であろう此紀様には、ある程度従うのが得策かと思ったのですが……」

R此紀―2「……コミーに従ってたら、あんたの結社任務に支障が出るんじゃないの?」
R蘭香―2「おそらく、そんなことはないと思うのですが」

R此紀―2「……」

R此紀―2「どうせ所属結社はバレてるし、手の内を明かすわ。私の結社任務は『1:他プレイヤーに対してプロパを3回成功させること』『2:コミー状態の他プレイヤーを1名でも最後まで生かすこと』。1はもう達成したわ。2はあんたが生き残ったら達成される。刹那のハウスルールでは、自分自身の生存も大前提だから、そのためにはデブリーフィングでZAPされないよう、表向きのミッションも成功させるのが理想的だわ。リーダーになっちゃったしね」

R蘭香―2「!(手の内を明かす! そういうのもあるのですね!)」

R此紀―2「都合よく、邪魔な2人はいないわ。あんたの所属と任務は明かせる?」

R蘭香―2「(ええと……問題ありませんわよね?)……はい。大丈夫です。私の所属結社は『ロマンテクス』。結社任務は『旧世界の遺物を持ち帰ること』だけです。結社任務には数のバラつきがあるとUV様に聞きましたけれど、此紀様は2つですか?」

R此紀―2「ロマンテクスの結社任務は難易度が高いから、任務の数も少ないんでしょ。……ちなみにあんたの結社任務は、私の結社任務と競合しないと思ってる?」

R蘭香―2「え? ……別にいたしませんよね? 『旧世界の遺物』を糾弾するのは、FCCCPだけだったはずですが……」

R此紀―2「……ド競合してるわよ。あんたがコミー洗脳状態のままエンディングに行ったら、あんたはもう『コミー』であって、『ロマンテクス』じゃないのよ? そしてあんたは、コミーの結社任務を受けてるわけでもないから、あんたの結社任務は自動失敗になるわ」

R蘭香―2「あっ……」

R此紀―2「……なんか可哀想になってきたわね。……ええと。さっきも言ったけど、ロマンテクスの結社任務は難易度が高いわ。『旧世界の遺物』なんてそうそう落ちてないし、今回の表ミッションとの親和性も低い」
R蘭香―2「それはそんな気がしておりました。どうすればいいのか見当もつかなくて……」
R此紀―2「だから、どのみちあんたの結社任務は失敗に終わる可能性が高い。なら、私に協力してくれても問題ないでしょ? こちらの条件には『あんたの生存』も含まれるのだから、私があんたを守るわ。だからあんたの結社任務が失敗しても、せめて生存エンドを迎えられる確率は上がる」
R蘭香―2「…………」

R此紀―2「口車に乗せてるわけじゃないのよ。もしあんたの結社任務、『旧世界の遺物の入手』が可能そうだったら、協力関係を解消しても構わないわ。条件付きの協定ってことよ」

R蘭香―2「! よろしいのですか? 私にばかり都合が良すぎる気もしますが……?」
R此紀―2「別にそんなことないでしょ。あんたがコミー状態から抜けたとしても、東雲か万羽のどっちかをコミーにしたら、私の結社任務は達成されるんだし」
R蘭香―2「あ。本当ですわ。でしたら、断る理由はありませんね。よろしくお願いします」

R此紀―2「……」


UV刹那―1「場面転換。隣の部屋の、万羽・東雲チームへ。此紀たちから充分な距離を取ったので、イヤホンと耳栓は外している」


R万羽―5「ヤバい残機がヤバい。さっきの録画されてたら、表ミッションを成功させたとしても、デブリーフィングで1回はZAPされるわ。表ミッションが失敗したら、2回ZAPで死亡確定じゃない? マジでターゲット探さないとマズいわね」
R東雲―4「らんこちゃん、此紀様の口車に乗っちゃうんだろうなー。まあ初心者だからな。騙されるのも洗礼だよな」
R万羽―5「あんたも此紀の『協定』に引っかけられたことあるの? あれエグいわよねー」

R東雲―4「開幕即プロパぶっぱって、いきなりコミーがバレるから、普通はアホの戦術なんだけど、あの女狐、そこを逆手に取ってきますからね。『せいぜいコミーだから、プロパ以外は警戒しなくていい』って思わせるためだろ、あれ」
R万羽―5「そこまでわかってて3回もプロパ打たれたあんたも相当アホじゃない? あとまあ、今の『女狐』でのZAPは見逃してあげるわ。監視もないし」

R万羽―5「……ところであんた、結社はアンチ?」
R東雲―4「おっ? 俺も同じこと聞こうと思ってました」
R万羽―5「結社を明かす気ある?」
R東雲―4「言ったって信じないでしょ?」
R万羽―5「そーね。デスレパなら明かすわけないし」
R東雲―4「それは装備チェックで確認なさったんでしょーよ。俺は物騒な兵器だのなんだの持ってません」
R万羽―5「『悪食』なら飲み込んで隠せるでしょ」
R東雲―4「つか。俺が、つうか、お互いにデスレパなら、2人になった瞬間撃ってますよね。だからお互いに違うわけっすよね」

UV刹那―1「UV様による天の声だ。『プレイヤー2人きりの場面』では、無条件ZAPを行っても構わない。死人には口がないためだ。『こいつがコミーであることを白状したからZAPした!』などと嘘八百を言っても、その嘘を暴く証人は存在しない。俺も関知しない。記録係のカメラなどが作動していたら別だが……」

R万羽―5「……お互い残機がヤバいでしょ? 相手のMT能力……相手がMT能力を持ってるとして、その種類によっては、ZAP急襲が避けられる可能性があるわ。だから賭けに出てこなかっただけなんじゃないの?」
R東雲―4「……」

R万羽―5「あたしを3回もZAPした以上、穏健派じゃないんでしょ? ユマニストじゃないわね。もちろんコミーでもない。シエラ・クラブやロマンテクスっぽくもないし。FCCCPかデスレパ、アンチ、サイオン。ステ振りから見るとエンプラが本命だけど、そんな素直じゃないでしょ?」

R東雲―4「そちら様だってどうですか。なーんとなくブラフ臭い動きも見受けられますし」
R万羽―5「……腹を探り合ったって、どうせ明かさないでしょ? 素直にターゲットを探した方がいーわね。そのへんのNPCに聞き込みしましょ」
R東雲―4「了解っす」

R東雲―4「(今の万羽様の論法にはすり替えがあるんだよな……意図的か天然かはわからねえけど)」

R東雲―4「(表ミッションに失敗したからって、デブリーフィングで2回ZAPされるとは限らねえ。……意図的なすり替えだとしたら、目的はなんだ? 何を誘導してる? 結社任務に関係あるんだろうが……」)

R東雲―4「(所属結社がサイオンなら、ターゲットは仲間にあたる。つまり『ターゲットを助けて、表ミッションを失敗させろ』って結社任務が来てるはず)」

R東雲―4「(でもそれなら、ウォーターガンを他人の手には渡さないはずだよな? ということはサイオンは外れる。金払いも良いし、エンプラでもなさそうだが……?)」

R東雲―4「(……つうか、ウォーターガンよりも引っかかる支給品は……)」


UV刹那―1「場面転換。再び、此紀と蘭香のチームヘ。こちらは……東側で聞き込みを行うことになったのか。周辺地図は、さきほど市民此紀に開示した」


R此紀―2「地図で見る限り、大きめの公園があるわ。人が集まるとしたらここね。向かうわ。あ、UV様、道の色は?」

UV刹那―1「いくつかの色分けされた道が通っているが、黒と赤の道もあるな。公園までは辿り着けるだろう」

R此紀―2「赤の道を通って、公園に向かいます」

UV刹那―1「公園に到着した。……5~6人のインフラレッドが散らばっている。3人組らしいレッド市民がベンチでくつろいでいるな。そして1人、ブルー市民が、汚らわしそうな目で彼らとお前たちを見ている」

R此紀―2「何しに来てんのよこのブルー市民は。とはいえ、情報量が多そうなのはコイツね。同志蘭香、ここから小声で話しましょ。なにか交渉系のスキルにポイントを振った?」
R蘭香―2「すみません、『言いくるめ』だけです……。上位クリアランスには無効なのですよね」
R此紀―2「……捨てスキルを取ったわねえ……」
R蘭香―2「このゲームをよく存じませんでしたもので……すみません」

R此紀―2「(…………しょうがないわね。ここは私が……)」

R蘭香―2「あ! 此紀様、私、MT能力で『魅了』を取っております!」

R此紀―2「……いいわね。ただし制限のある能力だわ。先にインフラレッドやレッドから聞き込みをして、最後にブルーに魅了をかけて情報を引き出す。それでこの公園からさっさと逃げましょう」

R蘭香―2「はい! ではさっそく、インフラレッドに聞き込みをして参ります! 此紀様にはレッドへの聞き込みをお願いいたします! プロパを打てば一発ですわよね?」

R此紀―2「……」

R此紀―2「素直な子ねえ……」

UV刹那―1「聞き込みの場面を、UVからアナウンスするか? ちなみに、東西チームの状況は互いに知り得ないことなので、このアナウンスはチーム内の2人専用ということだが」

R此紀―2「……その方が効率的ね。そうしてちょうだい」
R蘭香―2「はい。どのみち今の私はコミー状態ですから、同志と情報の共有はしなければいけませんし」

UV刹那―1「では、市民蘭香は……プロパを打ってインフラレッドから聞き込みをしたのだな? その結果、サイオンの過激派の噂がこのあたりに流れている、という情報を得る」

R此紀―2「そのインフラレッドたちを全員ZAPするわ

UV刹那―1「インフラレッドたちはまとめて心臓を撃ち抜かれた。巡回ボットが死体を片付け、新しいクローンが送られてくる」

R蘭香―2「え!? プロパを打って聞き出した以上、このインフラレッドたちは、嘘はついておりませんよね……?」

R此紀―2「いい? 同志蘭香。『噂』は不確実で無責任なものよ。同志をZAPするのは心苦しかったけど、コミーの同志といえど、『噂』など流す者は許されないわ」
R蘭香―2「う、UV様にお尋ねしてもいいのでしょうか? これは……?」

UV刹那―1「有効だ。アルファ・コンプレックスにおいて、『噂』は反逆対象だ」

R蘭香―2「えっ、でも、でも、別にそんな……私たちが黙っていれば良いことだったのでは? 万羽様や東雲さんが見ているわけでもないのですし……」
R此紀―2「同じ公園内にブルー市民がいるでしょ。コイツに『噂』を聞かれてたら……」
R蘭香―2「あっ……。そうでした。よかった、私ひとりだったら、ブルー市民にZAPされているところでしたわ」

R此紀―2「……」

R此紀―2「(……本当に素直な子だわ。『噂』が聞こえる位置にブルー市民がいるなら、それ以前に打ったあんたの『プロパ』だって聞かれてるでしょうに……。あんた自身が小声で打ったとしても、それを受けたインフラレッドは『噂』と同等の声量で、同志同志と喋っていたはずよ)」

UV刹那―1「此紀のレッド3人組への聞き込みは、プロパを打って行ったのか?」

R此紀―2「(……嫌なタイミングで確認してくるわね……)別に打ってないわ。私は『読心』にポイント振ってるから、情報の正誤は確認できるもの。レッド3人組のリーダー格を対象に、質問『嘘をついていない』で『読心』のダイス判定よろしく」
R蘭香―2「……?(なぜプロパを打たないのでしょうか? 打った方が確実性が上がると思うのですが、何か理由が……?)」

UV刹那―1「では市民此紀は、レッドたちから『雷を放ち、通行人を攻撃していたMT』の目撃情報を得る。5日前、まさしくこの公園で、ひとりのブルー市民が殺害されたそうだ。彼らはそれを見ていたようだな。これに対する『読心』は成功、答えは『イエス』だ。彼らは嘘をついていない」

R蘭香―2「噂ではなく『目撃証言』なので、こちらはOKということですね? なるほど……。UV様のアナウンスにも注意しないといけませんのね」

R此紀―2「このレッドたち、直接見てたんなら、そのMTのクリアランスもわかるわね?」

UV刹那―1「ブルーの服を着ていたとのことだ」

R此紀―2「やっぱり上位クリアランスよね……。つまりレーザー銃の攻撃は効かない。厄介だわ」

R蘭香―2「あっ……。あの、此紀様。あ、小声で話しておりますわ。……現場はこの公園だったのですわよね? でしたら、あそこにいるブルー市民が、まさしくターゲットである可能性もあるのでは……?」

R此紀―2「だとしたらいきなりビンゴね。私は弾数無限のウォーターガンを持ってるし、あんたは電磁波スーツを着てるわ。……」

UV刹那―1「なお、公園までの移動と、聞き込みの時間を合わせて、今は11時になったところだ」

R此紀―2「UV様、ここからブリーフィングルームまでの所要時間は?」

UV刹那―1「地図で見ればわかるだろうが、まあ教えてやるか。徒歩で1時間ほどだ」

R此紀―2「デブリーフィングは18時……。まあ走っていくとして、17時にはここを出たいわね。あのブルーがターゲットだった場合、万羽と東雲を呼ぶかどうか……」
R蘭香―2「戦力は多い方がいいのでは? あ、プロパ警戒で、呼び出しに応じませんのね、きっと」

R此紀―2「そうでもないわ。あいつら残機が少ないでしょ? リーダーの呼び出しを無視して、ペナルティを受けたくはないはずよ。さらに言うと、残機が少ないとはいえ、ゼロじゃない。もう一度プロパにかかっても、自殺解放できるわ。どっちを取るかはあいつら次第ね」

R蘭香―2「? 呼び出しを受ける可能性があるのなら、連絡を取った方がいいのではないでしょうか? このブルーがターゲットでなかった場合、あちらのチームが有力情報を得ているかも知れませんし……」

R此紀―2「ターゲットはサイオン所属よ。トラブルシューターにサイオンがいた場合、ターゲットを助ける結社任務を受けてるはず。つまり、表ミッションを邪魔してくるのよ。東雲に至っては幸福薬を持ってるわ。敵なら厄介よ」

R蘭香―2「な、なるほど。あちらのお2人の所属結社もMT能力も不明のままです。……此紀様はどう思われているのですか? 万羽様と東雲さんの所属や能力を、ある程度は推理なさっているのでは?」

R此紀―2「……東雲と万羽は友好結社ではないとは思うわ」
R蘭香―2「東雲さんは万羽様を、ええと、3回ZAPしておりますものね。ここからさらに、東雲さんがユマニストという線も排除できますわよね?」

R此紀―2「一概にそうとも言えないんだけどね。2回目と3回目のZAPの状況を思い出してご覧なさい。イエローがいる場所だったでしょ? 『あそこで万羽をZAPしないことも反逆』にあたるのよ。万羽をZAPしなければ、私たち全員がイエローからZAPされてたかも知れないわ」

R此紀―2「……もっとも、最初のZAPは、インディゴを利用しての『全員巻き込みZAP』だったわ。東雲がユマニストではないし、万羽と友好結社でもない、と推測できる理由は、ここね」

R蘭香―2「な、なるほど……。2回目以降と違って、あそこでの巻き込みZAPは、あきらかな私たちへの敵意ですわね。正義の味方の行動ではない……」
R此紀―2「万羽から東雲のZAPは、揚げ足取りの範疇だったしね。友好結社ならあそこでZAPはしないでしょ」

R蘭香―2「あの、私は、東雲さんの結社はエンプラではないかと思ったのですが……」
R此紀―2「? なぜ?」
R蘭香―2「え、『靴舐め』の成功率が高かったので、エンプラの結社特典『あつかましさ+ポイント3』を持っているのかと……あと賄賂を出し渋っていたので。安直でしょうか?」
R此紀―2「安直というか、根拠には乏しいわね。PLCでの賄賂のときは、プロパ打つ前にも30出してきたし、エンプラの基本理念である経済活動も行ってないわ。今あっちでメチャクチャ金を集めてる可能性は、そりゃ無くはないけど。あとあいつ、結社がどこでも、毎回メッチャ『靴舐め』にポイント振ってるわよ」

R蘭香―2「そ、そうなのですか……。結社の推理というのは、思っていたよりもずっと難しいのですね」
R此紀―2「『自分の所属結社を隠す』のも、このゲームの基本だからね。開幕から即明かす私が珍しいのよ。あいつらMT能力も全然使ってないでしょ? あ、UV様、引き続き小声で喋ってるからね」

R蘭香―2「MT能力も隠すのが普通、なのでしたわよね。アンチだけではなく、法的に『MT能力の所持は反逆』なので、誰から見てもZAPが必須と。反逆者をZAPしない者も反逆者と見なされますから」

R此紀―2「上位市民の目やカメラのないところではそうね。監視の目がないのに隠してる場合は、仲間を警戒してるのよ。仲間にアンチがいたら即ZAP対象。そうでなくても敵対結社の場合、やっぱり大義名分つきでZAPされる」

R蘭香―2「話が戻りますけれど、此紀様はあちらお2人の結社と能力を、どの程度まで絞っていらっしゃるんですの?」

R此紀―2「……万羽はあんたの友好結社の可能性があるわ。もしくは同一。UV様、確か同一結社に所属してるプレイヤーであっても、お互いそのことを知らないんだったわよね?」

UV刹那―1「ハウスルールによって、プレイヤーの所属結社がかぶることは推奨されないため、UV権限で結社の変更を勧めることもある。だがあくまでも『推奨されない』程度の強制力であり、同一結社に所属することもあるぞ。それ以降は、お前たちのクリアランスには開示されていない情報だ。しかしアドバイスしてやると、それは市民蘭香に聞けばいいのではないか?」

R此紀―2「この子ずっと『あの二人の結社を知らない』って前提で喋ってるじゃない。どうせ『知らない』しか答えは返ってこないでしょ。ねえ同志蘭香?」
R蘭香―2「(東雲さんがこのあたりを『今の自分はコミーだから』と切り抜けていましたけれど、別に隠す理由もありませんわね)……存じませんわ。同一結社だとしても、私は聞いておりません。あの、なぜ万羽様の所属が、私の友好、あるいは同一結社だと思われたのですか?」

R此紀―2「支給品の分配よ。『電撃』持ちのターゲットに対して、あんたの電磁波防護スーツは有利だわ。あんたを手助けする結社任務を受けてるのかも知れない」
R蘭香―2「それは私も、改めて考えた時に思いました。私が装備係なら、少なくともスーツは自分が着けたいですもの」
R此紀―2「私のウォーターガンも、きっとターゲットに対して有利だわ。ということは、万羽はたぶんサイオンじゃなく、そしてあんたを助ける意思がある。考えられるのは、穏健派のロマンテクスか、シエラ・クラブか、ユマニストね」

R蘭香―2「……? ですが、万羽様から東雲さんへのZAPは『揚げ足取り』と仰いましたよね? 穏健派が『揚げ足取り』をするのですか?」
R此紀―2「さっき言ったけど、東雲は『全員巻き込みZAP』やってるでしょ。あれは悪者の行動だわ。もっとも、『自分と他プレイヤーをコミー洗脳から解く』という目的があったとも考えられるんだけど、少なくともユマニストの好む手じゃないし、万羽はたぶんシンプルに『悪意』と受け取ったと思うわ」

R蘭香―2「穏健派の万羽様から見て、東雲さんはあそこで『敵』になったということですわね」
R此紀―2「そうよ。……同一結社に所属しているプレイヤーはお互いそれを知らない、というルールだったと思うけれど、東雲がコミーである可能性は除外される。あんたも言ってたけど、あいつブリーフィングのときは賄賂を出し渋ってたでしょ? あれは反コミー的行動だから」

R蘭香―2「あ、耳栓で呼び出しを無視した『嫌がらせ』も……此紀様がコミーであることはわかっているのですから、東雲さんの結社もコミーなら、嫌がらせをする必要がありませんわよね」

R此紀―2「そこについてはブラフの可能性もあったんだけどね。自分の結社はコミーじゃない、とアピールするための」
R蘭香―2「そんなブラフまで撒くゲームなのですか……」
R此紀―2「『汝は人狼なりや?』は知ってる? あれに例えると、『パラノイア』はプレイヤー全員が人狼か妖狐っていうゲームだからね」

R此紀―2「まあゴチャゴチャ言ったけど、『全員巻き込みZAP』やった時点で、東雲はコミーでもユマニストでもないわね」

R蘭香―2「他の穏健派結社である可能性は残るのですか?」

R此紀―2「『全員巻き込みZAP』の目的が『自分と他プレイヤーのコミー洗脳解放』だった場合、シエラ・クラブとロマンテクスの可能性は残るわね」

R蘭香―2「(…………)」

R蘭香―2「……あのう?」

R此紀―2「なあに?」

R蘭香―2「ひょっとすると『私と万羽様と東雲さんが全員ロマンテクス』という可能性もあるのではないでしょうか?」

R此紀―2「……」

R蘭香―2「ええと、此紀様は『万羽様と東雲さんが友好結社なら、万羽様の揚げ足取りZAPは行なわれない』と仰いましたが、この前提は『万羽様の読み違い』で覆されます。この読み違いの原因となるのは『東雲さんによる全員巻き込みZAP』ですが、この行為は悪意ではない可能性があるのでしょう?」

R蘭香―2「此紀様は最初に『全員巻き込みZAPからして、万羽様と東雲さんは友好結社ではないだろう』と仰っていましたが、矛盾というか、前提が食い違ってきているような……? そもそも、あの時点で、『相手が友好結社かどうか』を判別できたのでしょうか?」


R此紀―2「……初心者相手だから、話の時系列が前後しちゃったわね。結論から言うと、『あんたたち3人全員がロマンテクス』という可能性はあるわ。ただ、さっきUV様が言ったように、結社かぶりは推奨されないわ。3人も同じ結社に固めることを許すかというと疑問ね。メタ推理の範疇だけど」

R蘭香―2「なるほど。確かにそれは考えにくいですわね。少なくとも、本命予想にするべきではありませんわね」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「(蘭香は今、此紀の弱点にヒットした。此紀は確かに『言っていることが食い違ってきている』のだ。だが、その疑問を別の方向に流して忘れさせた……)」

UV刹那―1「(東雲は此紀を『女狐』と呼んだが、この口車、さすが『汝は人狼なりや?』で妖狐を引いた時の勝利率が一族でもっとも高い女だ……)」


UV刹那―1「東チームのパートが長くなったので、西チームへ場面を移動。時刻は遡って、10時半ほどの時点だ」

UV刹那―1「市民万羽と市民東雲が遭遇したのは10名ほどのインフラレッドだが、彼らに対する聞き込みの成果は芳しくない」

R東雲―4「ホントに役に立たねえなあ! インフラレッドのゴミどもは!」
R万羽―5「UVー。テキトーに『西を探索する』とか言っちゃったけど、このA地区を東西に分けたとして、片面エリアの探索はどのくらいの時間がかかるの?」

UV刹那―1「それは地図を見て自分で判断しろよと言いたいが、チーム分断による場面転換で時間経過が曖昧になるからな。答えてやる。今のお前たちのペースだと、5時間というところだな」

R万羽―5「えーと、デブリーフィングは18時だったわよね。UVに言われたから地図見よっと。……ここからブリーフィングルームまでは1時間くらいかかるわね」
R東雲―4「最悪5時間かけきって探索して、15時半。17時にはここを出なきゃならねえとして、ターゲット捕縛に割けるのは1時間半。今回のミッションはわりと有情っすね」

R万羽―5「向こうがアタリだったら、あたしたち無駄足よね」
R東雲―4「端末通信で情報交換したいところっすけど、向こう2人はプロパ打ってきますからね……。らんこちゃんの洗脳が解けた瞬間を狙って、こっちに引き入れたいんすけどね(チラッ)」

R万羽―5「……あたしのレーザーライフルで蘭香を狙撃して、殺害解放しても、引き込むより先に此紀がまたプロパ打つでしょ?」

UV刹那―1「……失敗だ。東雲の手が滑り、幸福薬のアンプルが1つ、地面に落ちて割れた

R東雲―4「クソッ!!
R万羽―5「あんたあたしに幸福薬打とうとしたわね!! 失敗したってことは、『隠密』にはそこまでポイント振ってないんでしょ。それでよくいきなり打つ気になれるわね!!」

R東雲―4「(クソッ、確かに俺は『隠密』にはポイントを振ってねえが、ワンチャン万羽様と此紀様に幸福薬打てたら、此紀様がラリッてるあいだにらんこちゃんをZAPして引っ張ってきて、情報を引き出してからもういっぺんZAPして、新しいらんこちゃんに幸福薬を打とうと思ったんだが……)」

R万羽―5「今あたしに幸福薬打ってどうすんのよ? 狙いがわかんないわね」

R東雲―4「(抜かせメス犬め。らんこちゃんに強い防具を支給した時点で、あんたがユマニストだってのは見えてんだよ。らんこちゃんの護衛任務を受けてんだろ? 同一結社のプレイヤーに対する護衛任務は無いはずだから、らんこちゃんは友好結社のロマンテクスかシエラ・クラブだな。万羽様は邪魔だから消しておきてえが、俺の残機も少ねえのが痛い。MT能力によっては返り討ちに遭う……)」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「(万羽もなかなかのタヌキだな。東雲の『メス犬』というのは、万羽が『汝は人狼なりや?』で人狼を引いた時の勝率が意外に高いことを指した暗喩かもしれん)」

UV刹那―1「(ああ。俺は完璧なるUV様だから、心の中も読めるのだ。プレイヤーからの『そっと幸福薬を打ちたいから『隠密』でダイス振ってくれ』という要請なども、これによって受諾している)」

R東雲―4「(ファミチキください)」

UV刹那―1「(無駄に使うな!)

UV刹那―1「ところで、キャンキャン言いながら歩いている市民万羽と市民東雲の視界に、黒い道の真ん中で仁王立ちしているイエロー市民の姿が入った」

R万羽―5「何してんのよアイツ。あ、コレ小声よ」
R東雲―4「イエローか……。インフラレッドよりは情報持ってそうですね。揉み手をしながら『いやあこれはイエロー様、お目にかかれて光栄です』と話しかけます」

R万羽―5「(ここで『ご機嫌いかがですか』とか言ったらZAPできたんだけどね。『機嫌は常にいいのが完璧な市民の義務』だもの。さすがにそんなバカなミスはしないわねー)」

UV刹那―1「イエロー市民は東雲を無視している」

R東雲―4「黄色の猿めが……(イエロー様、ご多忙なところ失礼いたします、と靴を舐めます)」

UV刹那―1「本音と建前が逆になっているぞ

R東雲―4「」

R万羽―5「そんなバカなミスある?」

UV刹那―1「……バカバカしすぎるミスなので、RPによっては見逃してやってもいいが?」

R東雲―4「イエロー様! 『さる』とは、大変優秀で知能の高いものの象徴であると聞いております。これは『ブルー様から聞いた話』ですので、無責任な『噂』などではありません!

R万羽―5「(嘘八百で切り抜けるつもり? R&Dの『嘘発見器』とかがあったら一発ZAPできたんだけど……)」

UV刹那―1「まあ『靴舐め』でのダイス振りも成功したので、有効としよう。イエロー市民はまんざらでもない表情だ」

R万羽―5「イエロー様、あたしたちはトラブルシューターで、電撃みたいな力を使う反逆者を探してるんだけど、何か知りません? って聞くわ」

Y市民―1「電撃はわからないが、きのう東側にある公園に立ち寄ったら、なぜだか激しい頭痛を覚えたな。健康は完璧な市民の義務なので、私が体調不良など起こすわけがない。あれは反逆者による攻撃に違いない!」

R万羽―5「あら? これは? 超いい情報なんじゃないの?」
R東雲―4「その公園にターゲットがいたんすかね? 頭痛ってことは、2つめの能力は『閾下侵入』か『メンタルブラスト』っすよね?」

R東雲―4「それは反逆者の仕業に違いありません! そやつめを捕えるため、そのとき近くにいた者の特徴などを教えていただけませんか? と言いながらイエロー様の靴を舐めます

UV刹那―1「……お。『靴舐め』ダイスは失敗したが、反逆者に腹を立てているイエロー市民は、トラブルシューターであるお前に情報提供をしてくれるようだ」

R万羽―5「(無駄振りじゃない……。失敗ペナルティがなかったのはUV有情のラッキーでしょ。要らないことしてくれるわ、んもー)」

Y市民―1「その公園には確か、インフラレッドのゴミどもが数名と、ブルー様が1人いらっしゃったな。頭痛でイライラしたのでインフラレッドは全員殺した。あ、反逆者の能力から解放された今は、もちろんイライラなどしておらず幸福だぞ」

R東雲―4「その場にいたインフラレッドを全員殺したってことは、ターゲットはブルーでほぼ特定っすよね?」
R万羽―5「刹……このUVは、あんまり面倒なミスリードしてくるタイプじゃないし、十中八九、そいつがターゲットね」
R東雲―4「でも、さすがにサクサクすぎるっつうか……。……。……あっ!
R万羽―5「なによ?」

R東雲―4「ターゲットがそのブルーならいいんすけど、このイエロー様が殺したインフラレッドの中にいたら? もう死んでるから、今回のミッションが自動失敗になります! 新しいクローンは送られてるでしょうが 過去のクローン体の罪は告発できない!

R万羽―5「あ! ほんとじゃない。っていうかそもそも、過去クローンの罪は問えない以上、『生死を問わず連れて来い』っていう言い回しが罠じゃない! ええと、このイエローの話は、きのうのことよね? 依頼人のインディゴが襲われたのはいつだっけ?」
R東雲―4「3日前とか言ってたと思います。それがきのうなんで、つまり4日前っすね。ヤバイ」
R万羽―5「『罪を犯したクローン体は死んだから結果オーライ!』って訴えるにしても、そのインフラレッドがターゲットだったっていう証拠が必要よ。もう残ってないでしょそんなもん。絶望的よ」

R東雲―4「……」

R東雲―4「……いや。だったとしたら、最初っから無理ゲーです。つうか『リーダーに責任なすりつけゲー』です。このUV様が、お孫さんの初参加卓で、そんなシナリオを作るとは思えませんね」
R万羽―5「あ、それはそうね。じゃあ多分、ブルーがターゲットでOKだわ。殺されたインフラレッドがターゲットでも、新しいクローン体でまたやらかすはずよ。インディゴ殺しの罪は消えても、新しいことをやらかしたら、デブリーフィングでゴリ押せるはず。どっちにしろ詰んではいないわね」

UV刹那―1「あんまりメタ推理に頼るなよ」

R万羽―5「えーと。とりあえず、その東側の公園に行けってことよね?」
R東雲―4「2日連続で同じ場所にいるかどうかはわかりませんが、まあ探索先としては妥当ですね。あっちチームのエリアかあ。あっちはもう辿り着いてるかも知れないっすね。此紀様は行動が速えからなあ」
R万羽―5「UVの孫温情もあるでしょうしね」

UV刹那―1「あんまりメタ推理すんなっつってんだろ!」


UV刹那―1「場面は再度、東エリアへ。市民此紀の端末に、市民東雲からの通信が入った」

R此紀―2「あら? ……声をひそめるわ。あんなにプロパを怖がってたくせに、あっちから通信? いいわよ。受けるわ」

R東雲―4「(端末越しに)有力情報を手に入れたんで、プロパ打たないでくださいリーダー」

R此紀―2「(端末越しに)……残機がギリギリの万羽じゃなくて、あんたが通信してきたってことは、プロパ打たれたとしても自殺解放して、そしたらもう『有力情報』を渡さないつもりなんでしょ? いいわよ。聞くわ」

R東雲―4「(端末越しに)そっちのエリアの公園で、きのう、『閾下侵入』か『メンタルブラスト』持ちのMTが出現してます。これはどっちもサイオンの持ち能力っすよね。ターゲットで間違いないと思います」

R此紀―2「(端末越しに)クソ情報だったわ

R東雲―4「(端末越しに)あ、ってことは、もうその情報を入手済みですか? あー待って待って、まだ持ち情報があります。そっちで合流しましょう。プロパ打たないでください」
R此紀―2「(端末越しに)……いいわよ。地図によると、こっちのエリアに公園はひとつしかないわ。私たちもこれから向かうわ。と言って通信を切るわ」

R蘭香―2「これから向かう? すでに私たちは公園に居るのに……また何かのブラフですか?」
R此紀―2「万羽が射程の長いライフルを持ってる以上、なるべくこっちの位置は事前に知らせたくないのよ。さて、あのブルーへの『魅了』は後回しにして、2人を待ちましょう」


UV刹那―1「12時ちょうど。市民此紀、市民蘭香、市民東雲は東エリアの公園で合流した」

R東雲―4「もう12時ですか?」

UV刹那―1「お前らが二手に分かれたりするから、時間経過の整合性を取るのが大変なんだよ。察しろ」

R此紀―2「そんなことより、市民万羽はどうしたのよ? リーダーの呼び出しに応じないのは反逆よ?」
R東雲―4「……ターゲットはMT能力を2つも持ってますからね。全員がまとまってると、一気にやられる可能性があるでしょう。市民万羽様はレーザーライフルで、やや離れた場所からの狙撃を担当します。今もこのへんをスコープで見てると思いますよ」

R蘭香―2「あら?ブルーのターゲットに、赤のレーザーライフルは通用しないのでしょう?」
R此紀―2「……」
R東雲―4「ん? ターゲットのクリアランスはブルーで確定なんですか?」

R此紀―2「……小声で同志蘭香に教えるわ。『東雲に対してプロパを打ったら、万羽が私たちを狙撃するぞ』っていう脅迫よ。事前に合図でも決めてあるんでしょ」
R蘭香―2「あっ……! なるほど……」

R東雲―4「(なんつってな。まあ、ユマニストの万羽様は護衛対象のらんこちゃんを撃てねえだろうが。あ、でも今のらんこちゃんはコミー状態だし、1回くらいなら撃ってくれるかな……?)」

R此紀―2「あんたには理由がわからないでしょうけど、私は『平等に』情報を共有する主義なの。こちらが得た情報を開示するわ」
R東雲―4「はい。平等主義である理由はわかりませんが、情報を聞きます」
R此紀―2「かくかくしかじか、と聞き込みで得た情報を伝えます。私たちは東雲よりも『少し早く』この公園に来たから、聞き込みをする時間があったわ」

UV刹那―1「かくかくしかじかだ」

R東雲―4「公園内のインフラレッドどもを見ます」

IR市民甲―2「レッド様はこわいなあ」
IR市民乙―2「天気がよくて気持ちいいなあ」
IR市民丙―2「今日も幸福だな」

R東雲―4「やっべ!! あいつら全員2体目だ!! イエロー様が殺したヤツらか!?」

R此紀―2「? どういうこと? イエローって何?」

R東雲―4「かくかくしかじか、とイエロー様の証言を伝えます」

UV刹那―1「かくかくしかじかだ」

R此紀―2「ああ……。あいつらが2体目なのは私がZAPしたからよ。だから、例のイエロー様がきのう遭遇したインフラレッドとは別人ね」
R東雲―4「そうでしたか。あ、『生死を問わず』ってのが罠なのは気付いてました?」
R此紀―2「当たり前でしょ。前のクローンの罪は問えないんだから、生け捕りしかないでしょ」
R蘭香―2「……(初めて気付きました……)」

R此紀―2「そのイエロー様がMTと遭遇したとして、さらにそのMTがターゲットだとする。今この公園内にいるNPCは、インフラレッド6名。レッド3名。ブルー1名。うちインフラレッドの6名は、全員が現在2体目であることにより無実が確定」

R蘭香―2「えっと……此紀様のZAPを受けても2体目ということは、彼らは『死んだ経験がない』ので、イエロー様が遭遇・殺害したインフラレッドとは別人ということですわね」

R此紀―2「そうよ。そしてそのイエロー様の証言によると、頭痛を起こしたとき、公園内にレッドはいなかった。よってあのレッド3名も無実ね」

R蘭香―2「つまり残る容疑者は、あのブルー様だけですか。なんだか推理パズルっぽいですわね」
R此紀―2「かといって、あのブルー様がターゲットと決まったわけでもないんだけど。西エリアでもこの公園についての証言が出てきた以上、最重要参考人ではあるわね」

R東雲―4「……」

R東雲―4「どう攻めますか? ただの証言NPCならいいっすけど、ターゲットだったら、話しかける、つか、近付くだけで攻撃してくる可能性もありますよね。『閾下侵入』はテリトリーに入った人間の心を読む能力ですから」

R蘭香―2「(私がMT能力『魅了』で近付く予定だったのですけれど、東雲さんの所属結社がアンチだった場合、それを口に出しただけでZAPされてしまうのでしょうか……? アンチの結社任務は『MT能力者を殺害しろ』がデフォルトと聞いています」

R蘭香―2「ですが、よく考えてみると『アンチ=MT能力者絶対殺すマン』というわけでもないのですわよね? ターゲットがMT能力者である場合、ターゲットを殺害すれば、それで結社任務は達成ということになりますし……)」

R蘭香―2「……!(表ミッションではターゲットを『生け捕り』にしないといけない以上、東雲さんがアンチ所属で、表ミッションと結社任務を両立させるには『プレイヤーの殺害』が必須条件ということですわ! MT能力を見せる機会があるのは、まず『ターゲット』か『プレイヤー』しかいませんもの!)」

R蘭香―2「(つまり今回に限り、東雲さんがアンチ所属であるなら、MT能力の発動は、確実に残機を1失うことを意味しますのね……)」

R蘭香―2「(さらに! FCCCP所属の場合は、『違法スキルの所持』をも刺してきます! 所属結社がわからない以上、うっかり口を滑らせるわけにはいきません……)」

R此紀―2「……小声で喋るわよ。私が『偽造』にかなりポイントを振ってるわ」

R蘭香―2「えっ!?……(『偽造』は違法スキルですわよね!? 私は記録用カメラをオフにしておりますけれど、東雲さんがFCCCPだった場合は、この発言だけでZAPされてしまうのでは……!?)」

R此紀―2「(……と蘭香は思ってるでしょうけど、ここで刺してくるなら、東雲の結社はほぼ『FCCCP/サイオン』の2択に絞れるわ。前者なら結社任務のため、後者なら表ミッションを阻害するために私を刺しにくる。私は残機に余裕があるから、このくらいは賭けても良いのよ)」

R東雲―4「此紀様は『偽造』好きですよねえ。インディゴ様からの命令書でも作りますか? あのブルー様がただの証言NPCだったら有効でしょうけど、ターゲットだったら意味ないっすよね」

R此紀―2「……(FCCCPではないようね?)……さらに小声で喋るわ。私が『魅了』も持ってるわ。生け捕りには有効だと思うけど」

R蘭香―2「(えっ!?)……???」

R東雲―4「変わったの取りましたね。……。あ、ダメです。さっきも言いましたが、ターゲットは『閾下侵入』持ってる可能性あるんで、近付いたらバレます。『魅了』も『閾下侵入』も発動テリトリーは5メートルですよね」

R此紀―2「(OK。これも刺しに来ないなら、アンチでもないわね。サイオンも消せるかしら? 今のアドバイスは、サイオンならしなくて良さそうだもの……いえ、そう考えるのも安直だわ。私たちには『生け捕り』しか選択肢がない以上、生け捕ってから解放すれば、サイオンの結社任務は達成されるものね)」

R此紀―2「(サイオンの結社任務にはおそらく『ターゲットを一度も殺害させないこと』が含まれているはず。私たちにとっては『ターゲットを殺害せず、デブリーフィングに連れて行くこと』が必須条件だけど、サイオンにとってはそうじゃない。サイオンは『ターゲットを殺害させず、なおかつデブリ-フィングに連れて行かない』ようにしないといけないのよ。いずれにせよ、私にウォーターガンを支給した時点で、万羽はサイオン所属ではない)」

R此紀―2「(東雲にサイオンの可能性があるのが厄介なのよね……。ここに来たのが逆ならやりやすかったのに)」

R此紀―2「……UV様、例のブルー様はまだいる? しばらくいそう?」

UV刹那―1「そうだな。目的はわからないが、じっと立っていて、動き出しそうな気配はないぞ」

R此紀―2「ということは、少し脇道に逸れる話をしても良さそうね。ちょっと万羽の結社についての意見を聞きたいんだけど」
R蘭香―2「(えっ?)」

R東雲―4「ハイ? 別に反対しませんけど、それ重要っすか? 多分サイオンじゃねえし、アンチだったとしても別にいいでしょ? 離れた位置に……少なくともこっちからは目視できねえ位置にいますし、記録係でもねえから、誰かがMT能力を発動したところで、刺しには来られないでしょ」

R蘭香―2「(『自分たちがMT能力を~』ではなく、『誰かが』ですか……。さすがに言い回しに隙がありませんわね)」

R此紀―2「……」

R此紀―2「私は万羽の結社はエンプラだと思ってるわ

R蘭香―2「(ええーー!? さっきまでの話は!? もう何がブラフで何が本音なのかわかりません!!)

R東雲―4「エンプラぁ? それはないでしょ? 支給品を独り占めして売るとか、そういうのがエンプラの普通の戦略でしょーに。こんなフェアな分配するエンプラ結社員いないでしょ」

R此紀―2「私に支給されたウォーターガンは、実質、弾数無制限よ。UV様から『100本のペットボトルを持っていい』とまで言われてるわ。でも私は1本もペットボトルを持ってきていないわ。タンクには充填してあるけど、予備の水は持ってないの」

R東雲―4「え? どうし、…………ああ! あー!」

R蘭香―2「えっ……。なぜですの? UV様のルールでは、100本持ってきてもいいし、1000本持ってきてもいいのですわよね? 重量判定が無いのですから、1000本持ち得なのでは……?」

R此紀―2「初心者の市民蘭香に説明するわ。『弾数無制限で、重量判定もない』なんてミリタリーバランスを崩すような武器が、PLCでもらえるのがまずおかしい。これはわかるでしょ?」

R蘭香―2「わ、わかります。とても強い武器だと思いましたが……。……あっ、それが罠なのですか? 武器が強くても、強すぎる武器では、『ターゲットの生け捕り』がかえって難しくなってしまう……?」

R此紀―2「そこは別に、そうでもないのよ。今回の任務が『生け捕り』を強要していることに、私たちは遅かれ早かれ気付くわ。だから武器の威力はわりとどうでもいいの」

R蘭香―2「? ……?」

R此紀―2「初心者にはアンフェアな罠だわ。ハウスルールも含むし。UV様?」

UV刹那―1「お前の心の声によって、お前がこれから披露する推理はわかったが。お前らだってメタ推理するんだから、俺のそれをどうこう言える筋合いじゃないと思うぞ」

R此紀―2「まあUV様の裁定は絶対だから、食い下がらないわ。結論から言うと蘭香。アルファ・コンプレックスでは、水は普通の弾薬よりも高いのよ」

R東雲―4「メッチャ盲点でした。初めて出てきた武器だったし、気付かなかった」

R蘭香―2「……水の価格は存じませんけれど、私たちの所持金では、ペットボトル100本分の水は買えないということですわね?」

R此紀―2「1リットルのキレイな水は30クレジットよ」

R蘭香―2「月給で3本しか買えませんの!?

R此紀―2「私たちが食べるものは食道がただれて死ぬ可能性のある固形食だし、飲む水道水もときどき謎の結晶が喉にひっかかるわ。キレイな水は工場とかに優先して回されるから、私たちは廃棄水を飲んでるのよ」

R蘭香―2「この年まで残機を減らさずに生きてきたことが不思議すぎますわ……

R東雲―4「ウォーターガンはその性質上、キレイな水を装填しねえと弾詰まりを起こす。水道水じゃダメなんだ」

R蘭香―2「(……あら? 此紀様はきのう、『100本分の水を汲むから、朝は別行動したい』と仰っていましたわ。あのときは『水道水ではダメ』ということに気付いていなかったということですかしら?)」

R此紀―2「私にウォーターガンを支給して、水を買うためにクレジットを使わせたい結社はどこ?」

R東雲―4「……エンプラですね。万羽様ご自身がこれ見よがしに水を売ってなくても、エンプラ結社員はほとんどが経営者です。水を売ってる店を経営してて、『そこの利益向上』が結社任務なのかもしれない、っていうことっすね」

R此紀―2「それもあるし、本題はまだあるわ。エンプラは『他のどの結社とも、金次第で手を結ぶ』という特徴を持つでしょ。せっかく装備係についたのに、自分はもっとも弱い支給品を選んだ理由は何?」

R蘭香―2「敵意を持たれないため? と……。だ、誰かからクレジットを受け取っていて、自前でもっと強い装備を買えるから……?」

R此紀―2「エンプラの結社員に、高額のクレジットを渡しそうなのは誰?」

R東雲―4「……ターゲットのサイオンじゃねえか!」

R此紀―2「さらに。さっきは『もっとも弱い支給品』と言ったけど、万羽のレーザーライフルは今、この公園内を狙ってるんでしょ?」

R東雲―4「!!!」

R此紀―2「もっとも、バッドラックによって万羽の残機は少ないわ。ここで私たちを撃つようなマネはしないでしょうけど。でも要するに、万羽はサイオンと手を組んでる可能性が高いのよ」

R東雲―4「(……万羽様はユマニストだとばかり……。……でも此紀様の推理にも筋が通ってる。水を売る売らないはともかく、支給品の分配については説明がつく……)」

R蘭香―2「(さっきの『万羽様は穏健派の所属』という推理はどうなったんですの!? もう何が何だかわかりませんわ!?)」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「(此紀の『対偶/逆/裏』の論法の使い分けは、勉強になるな……)」

R此紀―2「結論から言うと、万羽の動きを抑止したいわ。東雲、あんた一応、私たちよりは万羽に信用されてるでしょ? 幸福薬を打ってくれない?」

R東雲―4「……」

R東雲―4「……さっきそれに失敗したんで……多分もう……そんなに隙は見せないと思います……

R此紀―2「……(UV様、東雲に対して『読心』でダイス振って。『万羽に幸福薬を打とうとして失敗した』)」

UV刹那―1「(成功。イエスだ)」

R此紀―2「……なんて役に立たないの……」

R東雲―4「ウッ……」

R此紀―2「……東雲。あんた、少なくともアンチではなさそうだわ。だから本当のMT能力を明かすと、私は『テレキネシス』よ。『魅了』は蘭香の能力なの」

R蘭香―2「あっ……ここで明かしていいのですか?」

R東雲―4「……さっきの『魅了』持ちっていう嘘は、俺がアンチかどうかを確かめる賭けですね。そんで俺がアンチだった場合、らんこちゃんを守って自分がZAPされるためですか。じゃあ結社任務は『コミー状態のプレイヤーを生存させる』あたりですね」

R此紀―2「そうよ。『魅了』であのブルー様に近付きたいのは本当だったから、能力は真実を述べたわ。あんたがアンチじゃなかった場合、そのまま私と蘭香で近付いて行使するつもりだったから。あのブルー様が『閾下侵入』を持ってる可能性があるなら、その作戦は駄目なわけだけど」

R蘭香―2「(此紀様……。典雅様に対してエラそうでいけ好かない、などと思っていて申し訳ありません……。好き……)」

R此紀―2「とにかく、『魅了』であのブルー様に近付く作戦がダメな以上、今は万羽を先にどうにかしたいの。あんたが普通に幸福薬を打ってくれるのが一番だったんだけど、次善策は、蘭香が近付いて『魅了』からの幸福薬投与ね」

R東雲―4「らんこちゃんですか? 此紀様は……ああ。プロパ猛警戒ですから、近付けませんね。でも、それはらんこちゃんも同じ……あっ」

R蘭香―2「?」

R此紀―2「万羽は今、私たちをスコープで見てるんでしょ?」
R東雲―4「相変わらずのエグい発想」
R蘭香―2「ど、どういうことですの?」

R此紀―2「蘭香。あんたは残機に余裕があるわ。悪いけど、1回死んで。それで、あんたのコミー洗脳が解けたことが万羽に伝わるわ。東雲が万羽に警戒されてる以上、『コミー状態じゃない蘭香』が、万羽にいちばん接近できるわ

R蘭香―2「なにそれこわい

R東雲―4「万羽様の動きを抑止できるのは……万羽様の所属結社に関わらず、助かります。幸福薬1個くらいなら譲りますよ」

R此紀―2「蘭香は『言いくるめ』にもポイント振ってるわ。成功率はかなり高いと思うけど……強制はしないわ」

R蘭香―2「こ、小声で此紀様に耳打ちします。私のコミー洗脳が解けてしまうと、協定の意味が……?」

R此紀―2「小声で答えるわ。万羽に幸福薬を打ったあと、もう1回プロパ打たせてちょうだいよ

R蘭香―2「なにそれこわい……(ですけれど、私は確かに残機もありますし、当初の協定と大きく変更はありません……。万羽様がサイオンと手を組んでいる可能性がある以上、万羽様の動きは抑止したいところですわ)」

R蘭香―2「や、やります!

R東雲―4「よし。じゃあ、らんこちゃんに幸福薬を1個あげよう。近付いてそっと手渡せば、監視してる万羽様にもバレないだろうからな」

UV刹那―1「失敗だ。東雲の手からアンプルが滑る。割れることはなかったが、地面に落ちてコツンと音を立てた

R此紀―2「てめえ東雲!!! 落ちたアンプルを急いで拾うわ!!」

R蘭香―2「アイテムを手渡しすることにさえ成功判定があるのですか!?」

R此紀―2「違うわよ! こいつ今、あんたに幸福薬を打とうとしたのよ!!」

R蘭香―2「な、なんですって!?

R東雲―4「……違いますー。打とうとした相手は此紀様ですー」

R此紀―2「あ? ……まあそうね。私に幸福薬を打って、次の幸福薬を計画通り蘭香に渡して、万羽に打たせて抑止。これがあんたにとってやりやすいシナリオだったんでしょうね」

R蘭香―2「なにそれこわい」

R此紀―2「今の行動によって東雲の結社が絞れるかというと、それは微妙なのよね。ユマニストじゃないことなんかわかってるし、コミーの私はどの結社にとっても邪魔なわけだし。まあ、とにかく、万羽に幸福薬を打つ作戦は実施でいい?」

R東雲―4「OKでーす。幸福係なのに1回も幸福薬を打てなかったけどOKでーす」

R蘭香―2「今のやり取りで、万羽様に悟られていないでしょうか……?」
R東雲―4「UV様、そんな細かいところまで万羽様に見えます?」

UV刹那―1「万羽の位置は……ああ、無理だな。今の天丼は、万羽には見えないため、伝えない」

R東雲―4「じゃあらんこちゃんに、最後の幸福薬を手渡します。で、らんこちゃんを撃つのは俺の方がいいんですよね?」

R此紀―2「そうね。私が撃つのは不自然だし。万羽からも見えるように、こう派手に」

R東雲―4「どりゃ!!と派手なアクションでらんこちゃんを撃ちます」

UV刹那―1「R蘭香―2は心臓を撃ち抜かれた。すぐに巡回ボットが死体を回収し、新しいクローンが送られてくる」

R蘭香―3「えっと、新しくて完璧な私は『此紀様がプロパを打つ間もない!』と万羽様に伝わるくらいの速度で走り出します」

R東雲―4「万羽様は『こっからすぐ南の、黒いビルの屋上』で伏せてライフル構えてるから、この情報があれば判定なしですぐ見つかるぜ」

R蘭香―3「そんな本気のスナイパースタイルで……!?」

UV刹那―1「市民蘭香は走り去った(隣の部屋へ)。この部屋……公園には、市民此紀と市民東雲が残される」

R此紀―2「それで東雲、」
R東雲―4「あっダメですよ!? まだらんこちゃんは向こうに着いてないはずなんで、万羽様はスコープを覗き続けてると思いますよ。プロパぶっぱ即狙撃ですよ」
R此紀―2「わかってるわよ。それより、何が『最後の幸福薬を蘭香に』よ。まだ1個あるんでしょ?」
R東雲―4「え? 無いっすよ。らんこちゃんに渡したので1個。今失敗して此紀様に取られて1個。万羽様にも失敗して1個」
R此紀―2「え? 万羽も幸福薬を持ってるの? あんたバカなの? 早く言いなさいよそれを」
R東雲―4「は? ……あっ、わかった。今のはアンプルを落としただけでしたけど、万羽様の時はアンプルが割れたんですよ。ファンブル出たのか、今の出目が惜しかったのか、どっちかでしょうね」

R此紀―2「(UV様。もう一回、東雲に『読心』でダイス振って。『アンプルが割れたのは事実である』)」

UV刹那―1「(ハウスルールで、『読心』は同対象に連続で使用することはできない)」

R此紀―2「(あ、そうだったわね。……まあホントっぽいわね、この情けない表情は……)」
R東雲―4「残念な子を見る目やめてくださいよ。それよりらんこちゃん、うまくやれますかねえ」
R此紀―2「たぶんね。失敗してもたいした影響はないはずだし」
R東雲―4「そうっすか? 万羽様が全員に対して警戒度MAXになって、御しにくくなると思いますけど」
R此紀―2「……」



その5へ つづく



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