ゆるおに 鬼たちの『パラノイア』その5

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鬼たちの『パラノイア』その5
TRPG「パラノイア」を鬼たちが遊ぶ
~『ビギナー市民 蘭香のための やさしいパラノイア』その5~



UV刹那―1「場面移動だ。蘭香が万羽のいるビル(隣の部屋)に到着した。屋上に至る」

R万羽―5「(UVからは『東雲からの合図はない。東雲が蘭香を撃った。新しい蘭香は急いでその場を走り去った』としか聞いてないけど、なんなの?)」

R蘭香―3「(UV様! この距離なら大丈夫ですわよね? MT能力『魅了』を発動します! スキル 『言いくるめ』で交渉してみても、どうせリアル言いくるめで交わされるでしょうから、変に警戒される前に特攻です!)」

UV刹那―1「……。……失敗だ。蘭香はめまいを起こして、ふらふらとその場に倒れ込む」

R蘭香―3「(そんな!! 此紀様からの指令を失敗するなんて!!)」
R万羽―5「あら蘭香。何に失敗したのよ? あたしに悪さしようとしたわけ?」

UV刹那―1「市民万羽。スコープを覗き続けるか、蘭香に近付くかを選べるが、どうする?」

R万羽―5「あ、そーよね。んー。……蘭香に近付くわ。どうしたの? と声をかけるわ。……本当に3体目になってるわね。コミー洗脳は解けたみたいね」

R蘭香―3「……(どうしましょう……)」

UV刹那―1「朦朧としている蘭香は、握り締めていたアンプルを落とした。コツンと音がした。天丼乙だ」

R万羽―5「? ……。ははーん? あの2人の口車に乗せられて、あたしに幸福薬を打ちにきたわけね?」

R蘭香―3「バレテーラですわ……」
R万羽―5「いま失敗したのは、その反動の大きさ的に、スキルじゃなくてMT能力ね? 『電撃』じゃないわね。『感応』か『メンタルブラスト』、初心者なら『魅了』取っちゃったりもあったりして」
R蘭香―3「(『魅了』……ダメなんですの……?)」

R万羽―5「んー」

R万羽―5「あんた『読心』にポイント振ってる?」

R蘭香―3「えっ? はい、使えそうなスキルでしたので、少し振っていますけれど……」

R万羽―5「ちゃんとそれ使って、此紀や東雲の言ってることチェックした? 成功すれば相手の本音を見分けられるから、かなり使えるスキルよ。このUVは成功か失敗かも教えてくれるし。失敗すると『自分の隠していることがランダムにひとつバラされる』けど、やましいことがないなら構わないわけだし」

R蘭香―3「い……言われてみれば、一度も使っていません……!」

R万羽―5「えーと、あたしも『読心』にちょっとポイント振ってるから、いちおう確認するわ。UV、対象を蘭香で『読心』ダイスお願い。『現在はコミー状態ではない』」

UV刹那―1「成功だな。イエスだ。蘭香は現在、コミー状態ではない」

R蘭香―3「こんな便利な使い道が!?」

R万羽―5「……まあ初めてだと、使い方もイマイチわからないわよね。えーと。あんたも『読心』にポイント振ってるなら、利用するわね」

R蘭香―3「り、利用?」

R万羽―5「あたしの所属結社はユマニスト。あんたの結社はロマンテクスでしょ。あたしの結社任務は、友好結社のトラブルシューターであるあんたの護衛。あんたをなるべく多い残機で、最後まで生かすように言われてるわ

R蘭香―3「…………」

R蘭香―3「(これが本当なら、私が闇討ちしようとした相手が、私を守ってくれるヒーローだったということですわ!?)

R万羽―5「だから、ここでダイスを振るのよ。『読心』で」
R蘭香―3「あっ……! なるほど、UV様! 万羽様を対象に『読心』をお願いします!」

UV刹那―1「万羽が述べたことには情報が多い。『読心』の回答は『イエス/ノー』に限るので、その形式で質問せよ」

R蘭香―3「ひとつずつ、全部を確認してもよろしいのですか?」

UV刹那―1「ハウスルールで『魅了』や『読心』、ほかいくつかの能力やスキルは、同一対象に対して連続で行うことは不可能だ。成功するまで延々とダイスを振らされても困るからな。他のプレイヤー、たとえば東雲への『読心』を挟んで、そのあとにまた万羽への『読心』を行うのは可能だ」

R蘭香―3「なるほど……。では……私の結社を知っている以上、結社と任務はおそらく事実。すべてを話してはいないのかも知れませんが、大きくは違わないはずです。ならば今いちばん重要なのは……ええと。対象を万羽様、質問『私に対して敵意を持っていない』で、『読心』をお願いします」

UV刹那―1「成功だ。イエスだ。万羽は蘭香に対して敵意を持っていない

R蘭香―3「なんですってー!!!!!

R蘭香―3「こ、此紀様は……万羽様がエンプラの結社員で、高価な水を売ろうとしていて、しかもサイオンにクレジットを握らされたスパイだと……!」

R万羽―5「ええ? なんかずいぶんややこしい騙し方してきたわね」

R蘭香―3「こう……あの……支給物資のこととか……いろいろ……説得力がすごくて……」

R万羽―5「ああ、あれはちょっとわかりやすい分配しちゃったわね。あんたに防具を与えた上で、不満の出ない割り振りにしようと思ったんだけど」

R蘭香―3「……」

R蘭香―3「コミーは敵ですわ!!!!!

R万羽―5「よくできました」

R万羽―5「さて。あたしの残機がもうちょっとあれば、表ミッションは放置した方がいいんだけど……」
R蘭香―3「表ミッションを失敗させることも万羽様の結社任務なのですか?」
R万羽―5「違うわ。今回のターゲットは通り魔っぽいから、うちの結社的にも成功させたいんだけどね。このゲームでは、表ミッションよりも、結社任務のほうが重要なのよ。東雲だかが言ってたけど、結社によっては『表ミッションを失敗させろ』って任務が下ったりするし。だから、表ミッションと結社ミッションは両立しなくてもいいのよ」

R蘭香―3「では……ええと。このまま時間切れまで粘っていれば、表ミッションは失敗しても、万羽様の結社任務は達成されるのですね」

R万羽―5「そーね。ただし、表ミッションが失敗して、なおかつ『表ミッションをサボッた』ってデブリーフィングでチクられたら、多分あたしの残機だと生き残れないわ。家に帰るまでが遠足で、デブリーフィングが終わるまでがパラノイアなのよ」

R蘭香―3「そんな格言が……!?」

R万羽―5「あんたのカメラに、此紀がコミーだっていう証拠が映ってたら、ほとんどの失態をリーダーのせいにできるんだけど……」
R蘭香―3「……申し訳ありません……!」
R万羽―5「そうよね。あんたもコミー状態だったんだし。此紀はそれを狙ってたんでしょうねぇ」

R蘭香―3「(あの……女狐……!!!)

R万羽―5「ところで後ろから撃たれる心配がなくなったから、あたしはまたスコープで公園を見るわよ」

UV刹那―1「先ほどまでと変わらない光景だな。此紀と東雲が何か話している」

R万羽―5「ブルーにはノータッチな感じ?」

UV刹那―1「今のお前が見た限りはそうだな。蘭香と話すためにスコープから目を離していたので、その間のことはわからない」

R万羽―5「あたしが取ったMT能力は『テレポート』なのよね。ターゲットが『閾下侵入』持ってる可能性ある以上、不意打ちからの一撃で気絶させないといけないっぽいわよねえ」

R蘭香―3「すみません……私のMT能力は『魅了』ですので、たぶん一切お役に立ちません……」

R万羽―5「……」

R万羽―5「あら? こんなところに幸福薬が落ちてるわ

R蘭香―3「あ、すみません、それは私が騙されて……」

R蘭香―3「……」

R蘭香―3「!!!!!

R万羽―5「あたしがテレポートであのブルーに接近する。不意打ちで幸福薬を打つ。そしたらもう生け捕り成功よ。あのブルーがターゲットなら、の話だけど」

R蘭香―3「幸福薬……味方の足を引っ張るためだけのものだと思っておりましたけれど、そんな使い方がありますのね!」

R万羽―5「まーだいたいは味方の足を引っ張るためだけに使われるわよ」

R蘭香―3「……

R万羽―5「ちなみに、此紀と東雲のMT能力は知ってる?」
R蘭香―3「東雲さんは口が堅くて、まったく……。此紀様は『テレキネシス』だそうですけれど」
R万羽―5「どうせ自分でそう言ってただけでしょ? そういうときに『読心』でダイス振るのよ」
R蘭香―3「シクシクシク」

R蘭香―3「……あっ、そういえば、此紀様も幸福薬を1個持っております!」
R万羽―5「……どーせ東雲が『隠密』低いくせに打とうとして失敗したんでしょうけど……此紀が持ってるのは厄介ね。此紀は『隠密』にもポイント振るから……ちなみにあんたは『隠密』は?」
R蘭香―3「まったく振っていません……」

R万羽―5「……実はあたしは『隠密』に8ポイント振ってるわ。不意打ちの成功率が上がるのはいいけど、ブルーに幸福薬打って……それからどうするかの方が問題よね。あたしの残機だと、此紀に2回プロパ打たれたら詰むわ」

R蘭香―3「……此紀様の持っている幸福薬をあのブルーに打って、そのあとに、この幸福薬を此紀様に打ってはどうでしょう?」
R万羽―5「ん? どーゆーこと?」
R蘭香―3「私が今から、『えーん失敗しました』と泣いて帰ります(本当のことですし)。そこでさも私が思いついたかのように、『隠密でブルー様に近付いて幸福薬を打ってはどうでしょう』と提案するのです。此紀様は『隠密』にポイントを振っているのでしょう?」

R万羽―5「『此紀が隠密にポイント振ってる』っていう情報をあんたがどうやって知るのよ」

R蘭香―3「あ……。じゃあ、ええと……ええと。『私が隠密にポイントを振っている』と嘘をついて、此紀様から幸福薬を奪って、それで……」

R万羽―5「それで、実際には『隠密』にポイント振ってないあんたが、その幸福薬をどうするのよ」

R蘭香―3「……」

R万羽―5「あと多分、此紀は『読心』にも結構ポイント振ってるから、あんたがノコノコ帰ったところで、一発でバレるわよ」


R蘭香―3「シクシクシク」

R万羽―5「でも、此紀に幸福薬っていうのはいいアイディアだわ。プロパを防げるし、デブリーフィングで有利になる。……」

R万羽―5「……」

R万羽―5「蘭香ちょっと」
R蘭香―3「? はい?」

R万羽―5「コソコソコソ」
R蘭香―3「!!!」

R万羽―5「コーソコソコソコソ」
R蘭香―3「!!!!!」


UV刹那―1「場面転換だ。公園(隣の部屋)の東雲と此紀。時間は少し遡り、蘭香が走り去ったすぐ後だ」

R東雲―4「実際のところ、此紀様は表ミッションやる気あるんすか? コミーには……コミーだとしたら、あんまり関係ないでしょ、表ミッションの成功如何って。此紀様は残機も余裕ですし、表ミッションが失敗してもデブリーフィングで全機なくなるってことはないでしょう」

R此紀―2「……あんたはどうなのよ? あのブルー様がたぶんターゲットでしょ。あんた全然アクション起こさないじゃない」
R東雲―4「『閾下侵入』持ってる可能性あるなら近付けないっすよ。俺は残機少ねえし。表ミッションを成功させるんなら、ここは一番残機のあるリーダーが試金石になってくださるべきだと思いますがね」

R此紀―2「記録係もいないのに、随分それっぽいこと言うわね。FCCCP所属でもないでしょうに」
R東雲―4「アルファ・コンプレックスの公園って、だいたい監視カメラついてますよね。記録係のカメラと同じで、音声も録音されるやつ
R此紀―2「……」
R東雲―4「らんこちゃんと話してる時も、ヤバい系の言葉は小声でしたもんね。エゲつないなあ。らんこちゃんは知らないんでしょ? もしかしてらんこちゃん、この公園で反逆的なことしたりしちゃったのかなあ。たとえば? レッドやインフラレッドへのプロパとか?」

R此紀―2「……どうかしらね?」

R東雲―4「仮にそうだとしたら、デブリーフィングでここの監視カメラの映像をピックアップすれば、らんこちゃんは1ZAP確実でしたね。もっとも『そのらんこちゃん』はさっきZAPされましたが。戻ってきたら、また同じようなことさせるんでしょう? あの子は素直なんで、あなたの口車でもう2ZAPくらいは行けそうです。つまりあなたは、自殺解放できないくらいまで、らんこちゃんの残機を減らせるんですよね。あなたがコミーだとしたら、らんこちゃんは自動的にコミー状態でのエンドです。わあ怖いな汚いなあ」

R此紀―2「……どうかしらね」
R東雲―4「俺は残機もギリですし、表ミッションを成功させたいんですけどね。で、交渉なんですが、まだ残機があって、なおかつあなたの思うがままに残機数をいじれるらんこちゃんに、あのブルー様に近付いてもらってですね……」

UV刹那―1「その瞬間、此紀の瞳孔が開いた。その表情がみるみるうちに晴れやかになっていく

R此紀―2「!?

UV刹那―1「(万羽の『隠密』が成功したため)此紀に幸福薬が投与された。此紀は幸福状態になった。なお、その背後には万羽の姿がある」

R此紀―2「チッ……蘭香が失敗したのね。一応は想定してたけど、私だって『隠密』には3ポイント振ってたから、それなりに成功値は低いと思ったのに……! 万羽は相当『隠密』にポイント振ったの!? ……ああ幸せだわ!」

R万羽―5「リーダー、持ってる幸福薬をあたしに渡して?」

R此紀―2「……幸せだわ……。渡すわ……」

R東雲―4「……」

R東雲―4「(万羽様のMT能力は『テレポート』……とは限らねえな。近くまで走ってきて『隠密』で近付いてくりゃいいんだし。さて、幸福薬を打たれると困るな……)」

R東雲―4「……市民万羽様。俺たちは敵対してるんですかね?」

R万羽―5「あたしに幸福薬を打とうとしたわね? 2回も。2回目は此紀に騙されてたって言い張る? じゃあ1回目は?」

R東雲―4「…………」

R万羽―5「リーダー? あなたはコミー?」

R此紀―2「ああ幸せだわ……。そうよ私はコミーよ……」

R万羽―5「リーダーが反逆者だったなんて、これはデブリーフィングのときにじっくり事情を聞かなければいけないわね。よってリーダーの処刑は後回しよ。そのへんで大人しくしててちょうだい。市民東雲、コミーと2人っきりで何を話していたの? 決まってるわね。反逆的で汚らわしい話に違いないわ」
R東雲―4「(でかい声でご丁寧に……。そりゃまあ万羽様も公園のカメラのことは知ってるよなあ……)」

R万羽―5「どう考えてもコミーだからZAPZAPZAP東雲!

R東雲―4「……まあこれはしょうがねえなあ!」

UV刹那―1「R東雲―4の心臓が撃ち抜かれ、死体は速やかに巡回ボットに回収された。新しいクローンが送られてくる。ちなみに此紀は幸福そうにブランコに乗っている

R東雲―5「前回の俺はコミーと2人で談話するような汚らわしい反逆者だったが、今度の俺は完璧だぜ」

R万羽―5「お互い残機がギリギリね? あんたの結社がどこであれ、任務がなんであれ、表ミッションは成功させた方がいいと思うわ。サイオンの場合だけは違うけど、あんた全然MT能力を使ってる様子もないし、たぶん違うでしょ。……此紀はデブリーフィングまで殺さない。プロパ打たれたら厄介だもの。異論はないでしょ?」
R東雲―5「ありませーん。でも、あのブルー様がターゲットとして、どうやって生け捕りにするんですか?」
R万羽―5「今と同じでよくない? あたしが『隠密』で近付いて、幸福薬を打つ」
R東雲―5「ターゲットがあのブルー様じゃなかったら?」
R万羽―5「その時はもう諦めるしかないでしょ。この残機だし。……UV、ブルーを観察するわ」

B市民―1「……」

R万羽―5「よっしゃラッキー1体目だわ。ターゲットだとしたら告発可能ね。インディゴが顔を見てるし、証拠は要らないわ」

R東雲―5「らんこちゃんはどうしたんですか? どっかに縛り上げてます? コミーを自白したリーダーはまあ事情聴取の必要があるとして、トラブルシューターの拘束は、ミッション阻害っていう反逆になるんじゃ?」

UV刹那―1「そのとき、東雲は甘い匂いを嗅いだような気がした。頭の中に蘭香の顔が浮かぶ。蘭香の言うことなら何でも聞きたいような気分になった」

R蘭香―3「普通に近くにおりますわよ。縛られてなどいませんわ」
R東雲―5「あっクソ、『魅了』か。UV様、効果どのくらいっすか?」

UV刹那―1「ダイスを振る。……。蘭香の命令を2つ聞いたら効果が切れる。なお知っているだろうが、他の操作系の効力と同じく、死んだら切れるぞ」

R東雲―5「自殺解除するほど残機が無えんだよな……。何やらせる気ですか。幸福薬握ってブルー様に特攻ですか」
R万羽―5「2回もそれ失敗したあんたにやらせるわけないでしょ。あたしが行くって言ってるじゃない」
R東雲―5「らんこちゃんと組んだんですか? ってことは普通にユマニストかよ。ちょっと此紀様の『エンプラ説』信じちまったわ」

R蘭香―3「万羽様、命令は2つだそうです。どう使いましょうか」
R万羽―5「2つめは自殺で決まってるわね」
R東雲―5「正義の味方の言うことじゃねえだろ!!

R万羽―5「あ、いい話があるわよ、と小声で東雲に教えてあげるわ。……蘭香がカメラに録ってた、朝の『リーダーの言うことを聞かずに走り出したあたしたち』の映像は、あたしが消しておいたわ」
R東雲―5「ああ……(ユマニストだからスキル『コンピュータ・プログラム』持ってんだな)……まあ、そりゃ確かにいい話ですわ」

R蘭香―3「ちなみに今からカメラをオンにします。オフにしていた時間が長いので、尺が足りないのは万羽様に補っていただきました。一応、此紀様がブランコに乗っている映像も録って録れ高を増しましょう」
R此紀―2「……」

R東雲―5「(万羽様、『コンピュータ・プログラム』持ってるんなら、この公園の監視カメラに向かって言い訳する必要もねえだろうに。まあいろいろ行動するのが面倒なんだろうな……)」

R東雲―5「(あるいはユマニストってのが嘘か? ああ……『靴舐め』に頼るステ振りでいくと、こういうとこで効いてくるんだよなあ……。これが嘘なら、監視カメラに向かって、あることないこと叫んでやれるんだが。『グレネード』になんてポイント振らねえで、『読心』に振るべきだったな。成功率の見込みが微妙すぎる。今『読心』が失敗すると痛てえんだよなあ……)」

R蘭香―3「万羽様? 1つめの命令で、東雲さんの所属結社を聞き出した方がよろしいのでは?」

R万羽―5「……それは2つめに回すべきね。あと、どっちかというとMT能力を……MT能力を持っているとすれば、それがどういうものなのか知りたいわ? 結社はなんとなく絞れてるから」

R蘭香―3「あら? 2つめの命令は『自殺』で決まっていたのでは……? 万羽様がそう仰るのなら、そうした方がいいのでしょうけれど」

R東雲―5「……(MT能力を所持してることがバレたら即ZAP対象だから、この状態でMT能力を聞かれるのは『自殺』と同義なんだよ……お嬢ちゃん……)」

R万羽―5「さて、グタグタしても仕方ないわ。あのブルーに特攻してくるわ」

R東雲―5「……」

R万羽―5「……。蘭香。1つめの命令を思いついたわ。『東雲を黙らせて』」
R蘭香―3「えっ? はい、そうします。『東雲さん、黙ってください』」

UV刹那―1「ずっと黙らせることはできないぞ。ダイスを振る。……黙らせることができるのは3分間だ」

R万羽―5「短っ。まあいいわ。『隠密』で近付いてる最中に大声でも出されたら、あたしの出目に関係なく失敗するでしょうから。成功しても、あたしより先にブルーに何か命令されたら最悪だしね」

R万羽―5「(UV! ぎりぎりの位置まで『テレポート』で近付いてから『隠密』で幸福薬打ったら、『隠密』の成功値に補正つけてもらえる?)」

UV刹那―1「(許可する。『テレポート』の発動に失敗したら、『隠密』も自動失敗になるが)」

R万羽―5「(オッケー! ダイス振って!)」

UV刹那―1「……! 成功だ。万羽は音もなくブルー市民の背後に現れ、その首筋に幸福薬を投与した。しかもその瞬間、なぜか公園内の監視カメラへの通電が一時停止し、公園内の録画が途切れた」

R蘭香―3「あ、私はもちろん東雲さんにカメラを向けていたので、万羽様の動向は存じませんわよ(監視カメラ?)」

R東雲―5「(こりゃクリティカル出たな!? 万羽様のリアルラックなんなんだよ! 今の『テレポート』が監視カメラに録れてりゃ、『コンピュータ・プログラム』で記録を改竄する必要があるから、万羽様が本当にユマニストかどうか確認できたし、ユマニストでなけりゃZAP材料にできたのに……)」

R万羽―5「やった! ブルーに命令するわ! 大人しくついてきなさい!」

UV刹那―1「ブルー市民は幸せそうに頷いた。一言も喋らないままだったことを憂える様子などはまったくない

R蘭香―3「これで表ミッションは成功ですわね!」
R東雲―5「デブリーフィングが終わるまでがパラノイアだけどな」
R蘭香―3「あら、喋れるようになったのですね。あとそれはもう聞きました

R万羽―5「リーダー! ブルー! デブリーフィングに行くわよ。ついてきなさい!」

R東雲―5「リーダーとブルーって、なんとかレンジャーっぽいですね」
R此紀―2「……リーダーは幸せな気持ちでビルに向かうわ」
R蘭香―3「私ももちろん向かいます」
R東雲―5「……魅了状態って、らんこちゃんからそこまで離れられないんでしたよね?」

UV刹那―1「そうだな。2つめの命令を消化するまでは、蘭香の半径5メートルから離れることはできない」

R東雲―5「じゃあ、自動的に俺も向かいます」

UV刹那―1「4名のトラブルシューターとブルー市民は、ブリーフィングルームのあるビルの玄関前へ到着した」

R万羽―5「……」
R蘭香―3「どうなさいましたの?」

R万羽―5「『玄関前』でアナウンスが止まったわ。ってことは、玄関に何かあるかもしれない」

R東雲―5「……」

R東雲―5「(UV様ー? ここで疑われるのはUV様のせいなんじゃないっすか?)」

UV刹那―1「(確かにそれは悪かった。だがUV様に食い下がったらZAPするぞ)」

R東雲―5「(はーい)」

R万羽―5「……」

R万羽―5「蘭香、東雲への2つめの命令が決まったわ。『玄関ドアを開けて。おかしな動きはせずにね』」
R蘭香―3「きのう来たときは特に何もありませんでしたけれど、今日は何かあるかもしれない、ということですわね? わかりました。では市民東雲さん、『玄関ドアを開けてください。おかしな動きはしないように』」

R東雲―5「(よし!! 思わぬラッキーチャンス!!!!)」

R万羽―5「あたしたちは距離をとってついていくわ」

UV刹那―1「『距離』を正確に」

R万羽―5「……絶対なんかあるやつじゃない。東雲以外の全員は50メートル離れるわ」

UV刹那―1「メッチャ離れるなお前。……なお蘭香は『魅了』命令が消化されていないため、東雲の半径5メートルから離れられない

R万羽―5「あ!!!!!
R蘭香―3「えっ!!!?

R東雲―5「蘭香様のご命令なので玄関ドアを開けまーす!!

UV刹那―1「その瞬間、玄関ドアが爆発した。半径10メートルに及ぶ爆発で、ドアや周辺の設備は吹き飛び、R蘭香―3は死亡した。新しいクローンが送られてくる」

R蘭香―4「……前の私は何が何だかわからないまま爆死するような間抜けでしたけれど今回の私は完璧で……どうして東雲さんは死んでいませんの!? 私よりも爆心地に近かったでしょう!?

UV刹那―1「死んでいないというか、無傷だ」

R万羽―5「(東雲のMT能力は『エナジーフィールド』ね!? しかもノータイム爆破だったのに助かってるってことは、爆弾仕掛けたのもコイツだわ!!)」
R此紀―2「……爆発に巻き込まれなくて幸福だわ」

R東雲―5「いやあハッハッハ。残機が減らずに魅了が解けたしハッハッハ」

R東雲―5「ハハハハハハハ!!!」

R東雲―5「ブリーフィング前に仰ってくださいましたねえ、『このデスルーラは無駄打ち』? 『余裕ぶっこいて端末通信』? 何の意味もなくそんなことするわきゃないでしょ! デスルーラからの2体目でコミー洗脳が解けて、端末通信するまでの間に、(『違法改造』と『破壊工作』で)玄関ドアにスリープ機能つき爆弾を仕掛けておいたんですよ!! 設定刻限は3時間。それ以降にこのドアを開けると半径10メートルが吹っ飛ぶ!! パッと見、このビルは無人でした。ブリーフィング終了からデブリーフィング開始まで、俺たち以外にこのドアを開ける者はいないだろうと推察しました!」

R此紀―2「幸福な私からちょっと確認するけど……市民蘭香? 今のは録画した?」

R蘭香―4「はい。このカメラは丈夫なのですね。爆発に巻き込まれても傷ひとつありませんわ」

R東雲―5「なんすか? 別に無差別テロじゃありませんよ? ここは俺たちトラブルシューターのブリーフィングルームが入ってるビルです。前回は無人だったんで、このビルに来るのは俺たちだけだと確信したんですよ。だからブリーフィングの帰りにも玄関の爆弾は解除しませんでした。反逆者のスパイが入り込むと厄介なんで、そのクズどもを駆除するための爆弾ですよ? 俺はちゃーんと解除してからドアを開けようと思ってたんですが、『おかしな動きをするな』と命令されてたんで、急いで開けざるを得ませんでしたけどね!

R万羽―5「あんたバカなの?」

R東雲―5「なにっ」

R蘭香―4「……あの。……このビルがブリーフィング専用施設だとしても……。私たちトラブルシューター以外にも、このビルに来る市民がいるのはあきらかですわよね?」

R東雲―5「知らないねえ! そんな市民がいたとしたって、俺にその情報はない。前回は無人だった。だから一般市民はこのビルに来ないと思った!」

R万羽―5「あんためっちゃバカなの?

R東雲―5「なにっ」

R蘭香―4「…………」

R此紀―2「……私は幸福だけど、東雲はバカだと思うわ」

R東雲―5「なにっ」

R万羽―5「ブリーフィングとデブリーフィングの参加者は同じ。前回と今回と、このビルに立ち入るメンバーは同じ」

R東雲―5「そうっすねえ。幸運なことに、誰も6機消費しなかったんで、4人揃って戻って来られてよかったなあ。あ、容疑者のブルーを入れて5人ですがね? 『ブルーが爆死してたらミッション失敗になってた』って論法ですか? さっきも言いましたが、俺は『ちゃーんと爆弾を解除してからドアを開けるつもり』だったんですよ?」

R蘭香―4「そうではなく……もう1人おりますわよね?」

R東雲―5「ん? 何が」

R此紀―2「幸福な私から正解を言うけど、デブリーフィング参加者は、私たち4人と容疑者ブルーだけじゃないでしょ」

R東雲―5「……?」

R蘭香―4「依頼人のインディゴ様ですわよ

R東雲―5「」

R万羽―5「完璧なる依頼人インディゴ様は、あたしたちなんかよりも先に到着される可能性があったわー。あんたインディゴ様を爆死させる気だったの?

R蘭香―4R万羽―4『ZAPZAPZAP東雲!!!!』


UV刹那―1「R東雲―5の心臓は撃ち抜かれ、ついでに右胸も撃ち抜かれて死亡した。爆発痕を掃除していた巡回ボットがついでに死体を回収した。新しいクローンが送られてくる」

R東雲―6「……前回の俺は本当にバカだったが、今回の俺は完璧だぜ……」

R万羽―5「別に黙ってりゃよかったのに、なんで全部喋っちゃったのよ?

R東雲―6「……一矢報いたと思ってテンション上がっちゃったから……」

UV刹那―1「玄関ドアは粉々に破壊されて、素通りできるようになったな。どうする?」

R万羽―5「えーと。……あたしがブリーフィングルームまで先導するわ」
R蘭香―4「よろしいのですか?」
R万羽―5「此紀に死なれて、幸福状態が解除されるのが一番困る。次にあんたに死なれるのが困る。あたしの結社任務は、あんたの残機数が多いほど判定が上がるのよ。で、その次にブルーに死なれて、告発できなくなるのが困る。東雲はどうせ頼んだって聞きゃしないでしょ。あたしが一番いいのよ」

R蘭香―4「では……はい。万羽様を先頭にして、ええと、2番目にブルー、3番目に私、4番目に此紀様、5番目に東雲さんでよろしいかしら。10メートル間隔くらいで参りましょう」
R此紀―2「幸福な私は逆らわないわ」
R東雲―6「俺も別に逆らいません」

UV刹那―1「5名はそのままブリーフィングルームに到着した」

R万羽―5「あ、着けた」

UV刹那―1「現在時刻は16時くらいだな。特に行動がなければ、デブリーフィング開始の18時まで進めるが」

R蘭香―4「……(UV様、もう一度東雲さんに『魅了』を使用したいのですが?)」

UV刹那―1「(説明したと思うが、『魅了』は、同対象への連続使用はできない。一度別の者を魅了したあとなら可能だが、MT能力は使うたびにポイントを消費するので、そのぶん成功率が下がるぞ)」

R蘭香―4「(あ、そうでしたわね……ではやめておきます。どのみち東雲さんは残機0ですし、デブリーフィングではまず生き残れないでしょう)」

R此紀―2「幸福な私は何も言うことはないわ」

R東雲―6「残機0なんでもう諦めてます。ないです」

R万羽―5「……」

R万羽―5「17時59分40秒まで時間を進めて」

R東雲―6「?」

R蘭香―4「(まだ何かあるのでしょうか? ……あ、そういえば、此紀様にはまだ残機に余裕があります。1ZAPで幸福状態が解けてしまいますわ。そこから何かされたら、万羽様の残機では生き残れないかもしれません。何か対処する必要があるのでしょうね)」

R万羽―5「他のメンバーにばれないように、そっと仕草で伝えるわ。蘭香、カメラをオフにしてくれる?」

R蘭香―4「了解しました」

UV刹那―1「他に行動する者がいないようなので、時間を進める。17時59分40秒だ」


R万羽―5「オッケー」


R万羽―5「大人しくしてるブルーに向かって言うわ」



R万羽―5「逃げなさい!! 全速力で!!!!



UV刹那―1「ブルー市民は、万羽に言われた通り、全速力で走って部屋を逃げ出した」


R東雲―6「あ!?

R此紀―2「……幸福状態の私も少しびっくりしてるわ?」

R蘭香―4「」

R蘭香―4「」

R蘭香―4「」

UV刹那―1「18時になった。インディゴ市民が入室してくる」

I市民―3「……」

R此紀―2「……幸福状態の私は、あら3体目になっていらっしゃるわ?と気付いたわ」

R蘭香―4「」

I市民―3「……今しがた、そこで、諸君らに捕縛を命じた下手人とすれ違い、そして2体目の私も殺された。今回の私こそ完璧なので、そんな失態は犯さないがな?」

R万羽―5「ゴメンなさいインディゴ様。この部屋にまで追い詰めたのですが~。リーダーがこのような状態なので逃げられてしまいました」

R此紀―2「幸福な私は反論する術を持たないわ」

I市民―3「そうか。ならば処刑だ」

UV刹那―1「R此紀―2は心臓を撃ち抜かれて死亡した。巡回ボットが死体を回収し、新しいクローンが送られてくる」

R此紀―3「前回の私は自分を制御することもできない反逆的なリーダーだったけど、今回の私は完璧よ。……蘭香? カメラに何か記録してはいないの?」

R蘭香―4「えっ……? ……か、カメラの記録内容は、……万羽様が……? えっ……? と、とにかく差し出します」

UV刹那―1「インディゴ市民が記録内容を確認している」

I市民―3「おや。これは今朝10時頃の映像だが、市民万羽と市民東雲が、リーダー命令を無視して走っているように見えるな」

R東雲―6「(消してねえじゃねーか!!!!!)

R万羽―5「いいえインディゴ様。あたしたちは早急に迅速にトラブルシューティングにあたるため、二手に分かれたのです。その証拠として、あたしと市民東雲の端末に、そのやりとりを記録したメールが残っています」

I市民―3「今、私の端末からコンピュータ様経由でアクセスして、確かにその証拠を確認した。……ところで市民蘭香。君は記録係ということだが、カメラをオフにしている時間が長いようだな? 録画されているデータ量が少なすぎる

R万羽―5「さきほどの朝10時前後のカメラの記録からもわかるように、記録係である市民蘭香はリーダーに随行していました。リーダーの指示の可能性が高いと思われます。つまりリーダーは記録に残したくないような反逆的なことを行っていたのでしょう」

R此紀―3「その当時の私が、そのような反逆的なことをしていたとしても、その私は先ほど処刑されました。『前クローンの罪』は、新しい私には及びません!

R万羽―5「なんということ! このミッションのリーダーであり、意図的にミッションを失敗させた可能性さえあるというのに、『前の自分の不祥事』を反省する素振りもありません! これは同じ過ちを繰り返さんとする反逆者です」

I市民―3「そのようだな」

R此紀―3「……(事実である分、切り返しがキツいところ突いてくるわね!)」

I市民―3「処刑だ」

UV刹那―1「R此紀―3は処刑され、回収され、新しいクローンが送られてきた」

R此紀―4「……今回の私は、『前回までの私』の反逆を深く反省している完璧な市民よ!」

UV刹那―1「……と訴える此紀を尻目に、インディゴ市民の疑惑は蘭香へと向いているようだ」


I市民―3「市民蘭香。君の職務怠慢についてだが」

R蘭香―4「…………(あっ!)……イ、インディゴ様! その……確かに前の私は、しょ、職務怠慢であったかも知れません。しかしさきほどビルの玄関前で新しくなった私は、その罪に関与しません! そして、前の私の罪を深く反省しております!!

I市民―3「確かに君が、さきほどビルの玄関前で新しいクローン体になったことは、コンピュータ様からの情報で確認できた。しかし肝心の下手人が逃げる瞬間を記録していないのは、『今の君』の職務怠慢だろう。とても反省した者の行いとは思えない

R蘭香―4「……!! そ、それは!! それは、反逆者にそそのかされたのです!! 市民万羽はサイオンの内通者だったのです!! 市民万羽こそが、今回のターゲットを逃がした反逆者です!!!

I市民―3「市民万羽。それは真実か?」

R万羽―5「超ウソです。知りません。証拠は?」

I市民―3「市民蘭香。証拠は?」

R蘭香―4「」

UV刹那―1「……人目のある場所で、証拠もなく他人を反逆者呼ばわりすると、自分がZAPされる。市民蘭香。証拠の提出を」

R蘭香―4「…………」

R蘭香―4「…………」

R蘭香―4「シクシクシクシク」

R東雲―6「(アルファ・コンプレックスが公的に使う施設には監視カメラがあるから、この部屋にもついてるはず。だから証拠はあるんだが、こっちが言わなきゃインディゴはチェックしない設定なんだろうな。……残機0の俺が万羽様の邪魔すると、ワンチャン勝利も消えるだろうから、ここは黙ってるが……)」

I市民―3「職務を怠ったあげく、証拠もないのにトラブルシューターの仲間を反逆者に仕立て上げようとした反逆者は処刑」

UV刹那―1「……R蘭香―4は泣きながら心臓を撃ち抜かれて片付けられて新しいやつが泣きながら来た」

R蘭香―5「シクシクシクシク今回の私は……完璧……シクシクシク」

R万羽―5「『つい先ほどまでの市民蘭香』までもが反逆者でした。この監督不行き届きの責任は、当然リーダーが取るべきですね。もちろん『今のクローン体のリーダー』が」

R此紀―4「は? ……、……(あ!! 本当だわ!! 時系列的に、蘭香のミスよりも前に、今の私が来てる! 何よ、この綿密なZAP順番は!?)」

I市民―3「処刑」

UV刹那―1「R此紀―4はR此紀―5になった」

R此紀―5「前の私はUV様から雑に処理されるような反逆者だったけど、今回の私は完璧よ」

R万羽―5「さあ、リーダー此紀」

R万羽―5「これであなたの残機アドバンテージはなくなったわ。あなたが仮にコミーだとして、残機と引き換えにプロパを打って、『新しいあなたと、コミー洗脳されたメンバーで生存勝利』という道は、少し難しくなってしまったのかしら?」

R万羽―5「あたしは完璧な市民で、コミーを殲滅するための情報収集を怠らないから、コミーの結社任務が『他トラブルシューターX名をコミー洗脳状態で生存させること』がほぼ固定なのはわかってるわ。(これが『1名』か『2名』ならあたしは関知しないけど、『3名』だった場合は困るのよ)……だからこうさせてもらったわ」

R万羽―5「あなたが今プロパを打ったとする。あなたがインディゴ様からZAPされて6体めになる。コミーにされたあたしは自殺してクリーンな6体めになる。6体めのあなたに次のプロパは打てないわ」

R万羽―5「もちろん、あなたはコミーなどではないでしょうし、あたしよりも賢いから、言うまでもない話だけど」


R東雲―6「(どうでもいいけど……あのダイス運からして、万羽様のMT能力は『テレポート』と『予知能力』だったっぽいなあ……)」

R万羽―5「蘭香が協力してくれた場合、『2名』までならいけるわね。さあ、今回の結社任務はどうだったのかしら?」

R此紀―5「……」

R蘭香―5「シクシクシクシク」

R万羽―5「ああ……過ぎた話だけど、蘭香。あたしが別にあんたに敵意を持ってなかったのは本当よ。あたしに対して『読心』でダイスを振る時、もう少し質問を慎重にするべきだったわね。シンプルに『市民万羽は嘘をついている/イエスかノーか』と聞けばよかったのよ。もっとも、その直前にあたしが細かい質問で『読心』を使ってみせて、シンプルな質問を思いつかないように誘導したんだけど」

R万羽―5「結社任務は必ずしも競合しないわ。だから、敵か味方かなんて大した問題じゃないのよ。あんたが穏健派の所属なら、余計にね


R蘭香―5「……な、……何かが……。……何かが……違います」

R万羽―5「? なあに?」

R蘭香―5「!!! あのときあなたは、私が告白する前から、私がロマンテクスの所属だということを知っていました! だから……だから、あなたの所属結社と任務を信じたのです! だから、私が優先した質問は……所属結社の確認などではなく……」

R万羽―5「自分が幸福薬を打とうとしていた相手が味方だった、と思って、罪悪感で混乱していたから、プレイヤーとしてのあたしが信用できるかどうか、そこを確かめたかったのね?」

R蘭香―5「シクシクシクシクシク」

R万羽―5「あと、あんたロマンテクスだったの? 知らなかったわ

R東雲―6「(らんこちゃんの自爆とはいえ、これはエグい!!!)

I市民―3「私も確かに聞いたぞ。市民蘭香が、違法組織に所属しているという自白を。処刑」

UV刹那―1「ハイ新しい蘭香だよー」

R蘭香―6「フエェェーーーーン」

R此紀―5「…………共産主義って本当にすばらしいわね!

R東雲―6「(あっ俺のワンチャンが消えた)」

I市民―3「コミーなので処刑」

UV刹那―1「ヘイ新しい此紀お待ち」

R此紀―6「……今回は完璧よ」

R万羽―5「あら? プロパを打ったのね。結社任務は『1名』か『2名』だったのかしら? 蘭香と東雲は6体めだから、もう自殺はできないわ。結社任務は成功ね。よかったわね。おめでとう、同志此紀」

R蘭香―6「シクシクシクシクシク」

R此紀―6「……私をハメた大ダヌキ。せめて残機を減らしてやるわ。万羽? あんたは共産主義をどう思ってるの?」

R万羽―5「もちろんすばらしいと思ってるわ!」

I市民―3「コミーは消毒だー」

UV刹那―1「万羽一丁!」

R万羽―6「今回のあたしはコミーの洗脳も解けたし完璧ね」

R此紀―6「……」

R東雲―6「……あのう。俺の結社任務はもう自動失敗なんで、此紀様にワンチャン差し上げたかったんですけど。せめて生存したいんで、すみませんが……」

R此紀―6「? ……なに?」

R蘭香―6「……待ってください東雲さん。私にやらせてください!!

R東雲―6「譲るぜ。君にはその権利がある」

R蘭香―6「……リーダー、いえ、反逆者此紀」

R蘭香―6「『おおだぬき』とは、一体なんですの?


R此紀―6「……!!!

R東雲―6「(俺は似たような場面を『ブルーに聞いた』という嘘八百と、『靴舐め』のコンボで切り抜けたが、此紀様は『靴舐め』なんかにポイント振ってねえだろう。プライドの高い女狐らしい最期だぜ……)」

R蘭香―6「違法な情報網を持っているし、発言文字が赤いのもコミー丸出し!


R蘭香―6「よくも騙しに騙してくれましたわね。これで終了です!」



蘭香―6「ZAPZAPZAP此紀!!!!!!」




UV刹那―1「R此紀―6はその赤い生涯を終えた」



I市民―3「これ以上の報告はないか? ならばデブリーフィングを終了する!」




表ミッション:失敗


此紀
死亡
所属結社:共産主義者
MT能力:パイロキネシス
結社任務1【他プレイヤーに対してプロパガンダを5回以上成功させる】達成→死亡により自動失敗
結社任務2【コミー洗脳状態にした他プレイヤーを3名生存させる】失敗→死亡により自動失敗

万羽
生存(残機0)
所属結社:サイオン
MT能力:テレポート+予知能力
結社任務1【ミッションターゲットである結社員の殺害阻止】達成
結社任務2【ミッションターゲットである結社員の逃亡幇助】達成

東雲
生存(残機0)
所属結社:デス・レパード
MT能力:エナジーフィールド
結社任務1【他結社プレイヤーのクローンを5体以上殺害】達成→コミー洗脳状態により自動失敗
結社任務2【公的施設の破壊】達成→コミー洗脳状態により自動失敗

蘭香
生存(残機0)
所属結社:ロマンテクス
MT能力:魅了
結社任務【旧世界の遺物を持ち帰る】失敗→コミー洗脳状態により自動失敗






万羽「いえーい1人勝ち~

東雲「あっ、此紀様の最後のプロパは、マジでただの万羽様への嫌がらせだったのかよ。あれがなきゃ俺も勝ってたんだけどなあ」
刹那「そこは俺もアナウンスしていて思った。東雲は惜しかったな」
蘭香「シクシクシクシク」

此紀「あ、東雲は結社任務を成功させてたのね? それは悪かったわね」
蘭香「シクシクシクシク」

刹那「……今のお前の耳に入るかどうかわからんが、勝利条件さえ『パラノイア』だとハウスルールになるので、説明しておくぞ」

刹那「ゲーム中にも何度か触れられていたが、『パラノイア』はゼロサムゲームではない。構成によっては『プレイヤー全員が、表ミッションと結社任務をすべて達成する』ということもありえる」

東雲「そのへん考えると、『勝つ』って表現も微妙ですよね。任務が競合しなけりゃ、全員が勝つわけですから」

刹那「勝つの負けるのというよりも、『クリアボーナス』を目的とした方がわかりやすいかも知れんな。これを少し説明しよう」

刹那「まず、死亡終了の場合は、結社任務も自動失敗となり、何も無し。生存終了した場合、次の卓でのシート制作時に使えるスキルポイントが+1され、これは残機数に応じて0.5ずつ増える。コミー洗脳状態であっても、ここの計上には影響しない」

万羽「0.5っていう刻み方がせせこましくて刹那っぽいわよね」

刹那「やかましい。UV様に噛みつくとクリアボーナス下げるぞ。……さらに俺の卓では、『結社任務をすべて達成した場合』にスキルポイント+1かつ、その結社内での昇進ポイントも累積される。各結社内のポイントやレベルの詳細は、要項が多すぎて面倒なので省くが」

東雲「結社ポイントは『その結社内』固有で、他の結社には適用できないんで、どうしても選ぶ結社が偏りがちになっちゃいますね」

刹那「此紀が毎回、不利を承知で共産主義者を選ぶのは、結社内でのポイントを稼ぎまくっているため、もうレベル3のコミーになってるからだな。あとまあ、単に好きなんだろうが」

此紀「今回は初心者入りの卓だったから、全員ボーナスなし、白紙からのスタートで、新鮮だったわ。それにしては私の結社任務の難易度が高すぎたと思うんだけど?」

刹那「お前はボーナスポイントを白紙にしてもプレイヤーとしてのレベルが高いから、あのくらいにしないとバランスが取れないと思ったんだ。実際、万羽があそこまで立ち回らなければ達成できたろ、お前なら」

刹那「で、説明に戻るが。表ミッションが成功した場合、クリアランス昇進ポイントが+1。ちなみに、レッドからオレンジに昇進するには3ポイントが必要だ。FCCCPやアンチに所属すると昇進が速くなる」

刹那「なお『死亡終了した場合は何も無し』というのは、『自身の生存が勝利の大前提』というハウスルールのためでもあるのだが、同時に『6体めでの自殺』を抑止している。たとえば今回、此紀の結社任務が『コミー洗脳状態にした2名の他プレイヤーの生存』だった場合、最後の失言で蘭香からZAPされなければ、此紀も勝っていたわけだ」

東雲「で、俺がそれを察してたら、『自分が死亡終了することと引き換えに、此紀様への嫌がらせで自殺』っていう選択肢もあったわけですね。俺は何も得しないですが、此紀様の結社任務は失敗になる」

刹那「それはそれで『パラノイア』の遊び方だとは思うし、だから俺も『6体めでの自殺』を明確に禁止事項にしているわけではない。禁止したところで、やろうと思えばできるわけだしな。『自分はコミーだ!』と叫ぶだけで自殺と同義だし、それを『わざとではなく失言だ』と言い張られて揉めるのも面倒だ」


東雲「俺はわりと嫌がらせ趣味ありますけど、『6体めで自殺』してまで他のプレイヤーの妨害をするのは、なんか楽しくないんですよねえ。このへんは好みでしょうけど」

刹那「此紀の最後のプロパは、『万羽への純粋な嫌がらせ』だったわけだが。此紀はもうあそこで詰んでいたので」

此紀「……その『嫌がらせ』をしたばっかりに失言ZAPされて、生存終了さえできなくなったから、昔話のいじわるばあさんみたいな気持ちになってるわよ。私はどのみち結社任務に失敗するんだから、万羽の残機なんかどうでもよかったのに」

万羽「? え? 本当に『残機削り』のつもりだったの? 『せめて自分の手で』的な感情論だと思ってたわ。だってあのとき、5体めのあたしはコミー洗脳状態だったから、あのあと自殺しなきゃ勝てないのよ? あの時点で、あたしの残機0エンドは確定してたでしょ

此紀「」

刹那「……此紀はわりとそういうところあるよな。緻密に詰めるが、一度尻に火が付くと、いらん延焼を起こすというか。逆風に弱いというか。実際、此紀はデブリーフィングでもう少し冷静に動いていたら、普通に勝てた可能性もある」

此紀「……自覚はあるわ……。私がいつも万羽に勝てないのはそういうところなのよ……。『パラノイア』だけじゃないわ……。何をやってもそうなのよ……」

万羽「よしよし」

刹那「……『勝利条件』や『目的』は、人それぞれ、鬼それぞれというのが、『パラノイア』というゲームの大きな特徴だな。その周だけ楽しめたらいいという者。次周以降のために、結社ポイントを狙って、結社任務に励む者。同じく次周以降のため、表ミッションに励んで、クリアランス昇進ポイントを貯める者」


東雲「『自分だけが勝ちたい』タイプは、デスレパとかに所属すると一石二鳥っすよね。他プレイヤーを殺すのが結社任務だったりするんで」

万羽「あたしはもちろん自分の任務は達成したいけど、他のプレイヤーの任務が競合しないなら、協力プレイしたいほうかも」

此紀「コミーはいつも孤独よ。今回みたいに『他プレイヤー全員のコミー洗脳状態での生存終了』とかミッションになると、全員と競合するし、それを想定して動いてくるプレイヤーもいるしね。万羽とか

蘭香「……もう誰も信じられない……」

此紀「このくらいであんた。今回はストレートスタイルだったし、そこまで揚げ足を取ったりもしてないでしょ?」

蘭香「此紀様なんて『結社任務』まで嘘じゃありませんの! 『他プレイヤー全員をコミー洗脳状態で生存』って、私との協定の話は大嘘だったということですわ!!! 私が運よく『旧世界の遺物』を手に入れて結社任務を達成しても、最後にはコミーにされて自動失敗ですわ!!」

蘭香「そのうえ、もうひとつの結社任務も嘘! プロパのノルマは『3回』ではなくて『5回』!! しかも、あの時点で5回達成しているじゃありませんの!  MT能力や、『X名洗脳』の方の嘘はわかるとして、こちらは何の意味もない嘘じゃありませんか!!」


此紀「意味がなくはないけど。『すごくたくさんプロパを打つのが目的』っていう印象を持たれたくなかったし」
東雲「その印象を拭うのは無理だと思いますが」
万羽「初心者はまず此紀に騙されるのよ。いつもの手だったわね」
此紀「私の結社任務の『X名』が『2名』以下だったら、本当に蘭香との協定を守るつもりはあったわよ。『3名』だったから、仕方なかったのよ」
蘭香「此紀様なんてイーッですわ!
万羽「あたしの結社がエンプラだなんて、ずいぶん手の込んだ騙し方したじゃない? ねえ蘭香」
蘭香「万羽様もイーッですわ!

刹那「万羽はミッション前日に5体目になっていたのに、よくやったなあ。結社任務も難易度が高かったと思うが」
万羽「わりと楽だったわよ。大人しくしてたら幸福薬が手に入ったみたいな感じだし」
東雲「あそこはちょっと、此紀様が策に溺れちゃいましたよね」
此紀「私にウォーターガン渡してくる装備係がサイオンだとは思わないわよ普通

刹那「お前、自分で(蘭香と東雲を言いくるめる過程で)『今回の任務が『生け捕り』を強要していることに、自分たちは遅かれ早かれ気付く。だから武器の威力はわりとどうでもいい』って言ってるじゃないか。あそこは真実を突いてたわけだな」
東雲「ですよね? なんであそこで『万羽様はエンプラ』って結論に持ってったんです? 俺はちょっと信じちゃいましたけど。でも、普通に『あいつサイオンじゃね?』でいい部分じゃないっすか」
此紀「心理的に私がサイオンなら、ウォーターガンは自分で持ちたいのよ。だからサイオン以外の結社ってことにした方が説得力があるかと思って。正直、万羽はロマンテクスだと思ってたのよね」

刹那「ああ。万羽と蘭香が同一結社だと思ってたから、そこを隠そうとして時系列を錯綜させてたのか。お前は何やってもそうだが、一周半考えすぎて外すタイプだよな。だから『汝は人狼なりや?』でも、村人や人狼より、妖狐を引いた時のほうが強いのかも知れんな。ゴチャゴチャ考えるよりも、その場の口八丁で切り抜ける方が向いてると思うぞ」
此紀「どういう意味よ」
刹那「頭の回転が速い分、アウトプットしないと暴走するんじゃないか? 実際、アウトプットしてるやつのほうが、頭の中で練ってる考えよりも正解に近いだろ。さっきの例とか」
万羽「後に先に考えすぎて凝りすぎるから、嘘の時系列も混乱しちゃうんじゃないの?」
此紀「……1人勝ちしたやつに言われると、何も反論できないわ」

刹那「万羽の嘘はシンプルだったな。『ユマニストになりすます』。ほぼそれだけだったろう」
東雲「此紀様に揺さぶられるまでは、メッチャ普通にユマニストだと思ってました。終盤でちょっとおかしいな? とは思ったんですが」
刹那「デブリーフィングからは、俺もちょっと笑いながらアナウンスした。よくあの残機差で此紀を詰ませたなあ」

蘭香「万羽様はお優しい方だと思っていたのに! 心の中でちょっとその馬鹿っぽさを見下しつつも、同時にその素直さと大らかさをかなり尊敬していたのに!」

此紀「生々しい女心を吐露するのやめてよ」
刹那「今回、卓を囲んでわかったと思うが、万羽は別に馬鹿じゃないぞ」
東雲「将棋も強いっすよね。詰み計算速いし。あと見かけによらず図太いから、びっくりするような大嘘ついてきたりします。此紀様がリアリティのある小嘘を重ねてくるタイプなら、万羽様は突拍子もない大嘘一本で来る感じですね」
蘭香「これ、嘘つきしか勝てないゲームなんですの!?」
刹那「でもないぞ。お前は今回、頼る相手を間違えた……というか、たまたま頼る相手がいなかっただけだ。此紀もさっき言ってたが、此紀の結社任務がもう少し緩かったら、お前との協定を守ったんだろうし。万羽が本当にユマニストだったら、お前の結社任務の手伝いもしてくれたと思うぞ」
万羽「そーね。初心者だから優しくしてあげようと思ったのは本当だし。あたしの結社任務と、表ミッションが対立しちゃったから、構造としてはぶつかっちゃったけどね」

東雲「そういや、さっきも言いましたが。俺は此紀様の『万羽様エンプラ説』をちょっと信じちまったんですが、此紀様はホントは『万羽様ロマンテクス』予想だったんですね? なんでエンプラを切ったんです?」
此紀「え? 簡単な話よ。コミーの私は私財を持たないから、水を買うようなクレジットを持ってないのよ。装填用の水を売ることが目的なら、少なくとも私にだけはウォーターガンを支給しないでしょ」
東雲「うわホントだ簡単な話だった。あ、そういや、俺の結社ってバレてました?」
万羽「途中、あんたもサイオンかと思ったわね。あー違うなーと思ったけど」
此紀「デスレパと悪食のコンボあたりだと思ってたわ。あたしにはあんまり関係なかったから、そんなに気にしなかったけど」

蘭香「私はまったくわかりませんでしたわ……。そういう推理力は、遊んでいるうちに鍛えられるものですの?」
東雲「動きからなんとなくわかってきたりはするな。これブラフだろうなーとか。あと正直、UV様のアナウンスからピンと来ることも多い」
万羽「あるある」
刹那「……悪かったな下手で。細かい伏線張られたり、別動隊作られたりすると、こっちは整合するのが大変なんだよ」

蘭香「初参加だったのでまったく落ち着かなかったのですが、振り返ってみると、早々に公園に辿り着いていたり、ターゲットとは一言も会話していなかったり、わりと淡々とした進行ですわよね?」

刹那「そうだな。……そういえばゲーム中に、お前が『ターゲットの生け捕りという縛りがある以上、東雲がアンチ所属の場合、表ミッションと結社任務を両立させるには、プレイヤーの殺害が必須条件』と考えていたが、これは正確には違うな。ターゲット以外のNPCにも、MT能力を発動させる者はいた。お前らが出さなかっただけで

此紀「ほぼ寄り道をしなかったわよね。……あのブリーフィング前に道端で会った、文無しのインフラレッドは何なの? 伏線かと思ったんだけど」
刹那「伏線だったがお前らが潰したんだよ。サイオン所属の構成員だったんだが……まあこれは使い回すからあまり話さないでおく」

蘭香「ダイスの成功値と出目が完全に非公開というのは、『パラノイア』ではよくあるルールですの?」
刹那「いや、これは珍しい方だと思うぞ。俺は話の進行や、RPの好みで成功値をわりと変動させるから、ここからステータスを読みたいプレイヤーにとってはノイジーになるだろう。だから非公開にしている」
東雲「万羽様のダイス運がいいのは、刹那様のひいきってこたあないでしょうね?」
刹那「万羽は食あたりで死んだだろ。あれファンブルだったぞ。あとプレイヤーのひいきがありなら、蘭香が万羽に幸福薬を打ちに行った場面で、『魅了』を成功させている。万羽は今回『予知』を持っていたこともあるが、ただただリアルラックが強い。食事のシーンだけ不運だったが」
万羽「まさかあそこでファンブル出ると思わなかったから、『予知』は使い惜しみしちゃったのよねー」

蘭香「あ、ステータスといえば、『靴舐め』の強さにびっくりしました……。あんなに使えるスキルでしたのね」
此紀「ほぼノーリスクで上位クリアランスに媚びられる手段だからね。有利すぎるから、『読心』とかと一緒で、『同一対象に連続で使用することは不可能』っていう制限を設けた方がいいんじゃないかとも思うけど。今回の東雲は4連続止まりだったけど、こいつ7連発かましたこともあるからね」
蘭香「靴がベッタベタですわね」
刹那「そのあたりは『面白いからOK』にしている。東雲は比喩ではなく『本当にシューズを舐めに行く』というスタイルだしな」

蘭香「あの、聞きたかったことがあります。デブリーフィングのときにはZAPされて答えていただけなかったのですが……万羽様はなぜ、私がロマンテクスだということがわかっていたのですか? あそこで信じてしまったので、私は万羽様の傀儡になってしまいました……」
万羽「あんなのカンよ」
蘭香「そんなのアリですの!?

万羽「……ま、もーちょっと詳しく説明してあげよっかな。あんたは初心者だし、たぶん性格的にも、穏健派のどこかに所属すると思ったの。ユマニストならもーちょっと積極的に動く……具体的にはミッションの朝に自殺解放してきてると思ったのよね。だからたぶん、シエラ・クラブかロマンテクス。さらに。そもそも、あたしの読みが外れてたとしても、それはそれで何も問題ないのよ」

蘭香「? 私が万羽様を信じたのは、読みが合っていたから……私の結社を知っていたからです。外れていたら、信じては……」

東雲「らんこちゃんがロマンテクスじゃなかったときは、俺がロマンテクスだってことにすりゃいいんだよ。結社任務で『プレイヤーの名指し』はない。偽ユマニスト万羽様の偽任務は『友好結社であるロマンテクスのプレイヤーを護衛しろ』だ。『万羽様が、俺がロマンテクスだということに気付けなかった』で通せる」

蘭香「……えっと、……」

蘭香「……。……」


蘭香「本当ですわ!?

東雲「記録を読んだが、此紀様も『俺にはシエラ・クラブとロマンテクスの可能性は残ってる』って言ってたろ? これはそうなんだよ。そのへんちょっと意識して動いたし」
刹那「此紀は嘘を細かく重ねるから、一度綻びると連鎖的に崩れてくるが、万羽は失敗しても問題のない嘘が得意だな。このあたりは天性のセンスという気がする」
万羽「コロンビアー」
此紀「ドヤ顔腹立つ」

東雲「前から思ってたんですが、刹那様のハウスルール『6体めでの自殺非推奨』だと、コミーは『デブリーフィングの時点で他プレイヤーよりも残機が1多ければ自動勝利』じゃないっすか? プロパ打ってZAPされて、またプロパ打ってZAPされて、相手を自殺できない残機まで削り続けて。自分だけは新しいクリーンなクローンで残れるっていう」
此紀「だから。今回、万羽がその詰みを崩して、逆詰みに持ってきたでしょ。そのへんはやり方次第でどうにでもなるのよ」
東雲「プレイヤーの腕かあ。此紀様は上手いですけどね。開幕即プロパぶっぱでコミーなのバレバレになってるのに、デブリーフィングまでに1回しか死んでないって、相当な腕利きですよね。俺はできねえな」
刹那「ミッション前に4回死んだ万羽が勝ったのも腕だな」

蘭香「あ、『ミッション前』で思い出しました。ミッション前日に現地解散したのと、ミッション当日に現地集合した理由はなんなんですの? 他のプレイヤーに自由時間を与えたくないのなら、居住区までと、居住区からを、ずっと一緒にいればよろしかったのでは?」

此紀「これはハウスルール含みね。刹那のアルファ・コンプレックスにおいて、ほとんどの商店は20時閉店で9時開店なのよ。20時ぎりぎりまで拘束してれば、『他のプレイヤーが買い物をして、夜のうちにそれを使って、時間のかかる細工をする』ということを防げるわ」
蘭香「ああ。それはハウスルールを知らなくても、なんとなく推測可能ですわね。『21時以降の外出が禁止』で、居住区まで1時間かかって、20時まで拘束されたら、寄り道はできませんもの。ですが、これは『別行動する理由』にはなりませんわよね? 朝などは関係ありませんし。早く居住区を出て、集合場所の近くの商店で買い物をすれば、開店から集合までの1時間ほど猶予がありますわよね?」
此紀「まあ言っちゃうと、その通りよ。ブラフの一種ね。あんたに『疑心暗鬼の種』を撒きたかったのよ。『他のプレイヤーが単独で何か工作をしているんじゃないか?』と思わせたかったの」
蘭香「怖っ

東雲「俺は実際、ちょっと朝は行動してましたがね。ブリーフィングビルの爆弾の様子を見に行ったり」
蘭香「あのう。あの爆弾、伏線なしで仕掛けられたと思ったのですけれど、TRPGでこれはアリですの?」
刹那「仕掛けられた時点で、俺が受理している。タイミングは東雲の自供どおり、『2体目になってから端末通信するまでの間』だ。『違法改造』と『破壊工作』のスキルがそこそこあって、ダイスの出目も良かったので、短時間での高性能爆弾の製造と設置を許可した」

此紀「東雲が結社任務のために動いてる様子がなかったから、もっと警戒すべきだったのよねえ。視界の外でコソコソ細工してたわけね」
万羽「東雲の結社任務『施設の破壊』を達成扱いにしたのって、刹那の有情よね? 壊れたのは玄関ドアだけでしょ。『全壊』を条件にするGMだったら、結社任務は失敗だったわね」
東雲「っていうか『全壊』にする爆弾も、ビルのすぐそばに仕掛けてたんですよ。さっき言いましたけど、ミッション当日の朝にビルへ寄ったんで、そのときに。起爆するタイミングは逃しましたが」
此紀「……こいつも侮れないわよね。漁夫の利狙いスタイルで」
刹那「ただ東雲は漁夫の利狙い感が丸出しだから、『妖狐』を引いたときに人狼から告発されがちだな」
東雲「口車がそんなに回らないんすよ。女性陣と違って」

蘭香「これは言っておきたいのですけれど、ハウスルールが多すぎませんか? 初心者には不利なことが多すぎますわ!」
万羽「あー、それはねえ、本当にそういうゲームなのよ
刹那「まず、元のルールがあまり詰められていないので、どこの卓でも確実にハウスルールを用いている。さらに、公式ルールで『プレイヤーはルールブックを読んではいけない』ことになっている」
蘭香「はい?

此紀「正確には『読んでもいいけど、読んだことを知られたらダメ』なのよ。ルールブックに書いてあることは、クリアランスUVだけに開示されてる情報だから、レッドが読めるはずがないのよ。プレイヤーへのルール説明の線引きもハウスルール、というか、GM次第ね。刹那はかなり親切なほうよ」
蘭香「何ですのこのゲーム?
刹那「『理不尽の中での理詰め』を楽しむゲームだと俺は思っている。さっきも言ったが、楽しみ方は人それぞれ、鬼それぞれであろうな」
此紀「温情もあり、嫌がらせもあり、ストイックもあり。好きなように楽しむべきね」

刹那「あ、ハウスルールといえば。ゲーム中で経験者たちは承知して動いているが、俺の卓では『前クローンの罪は告発できない』。そして『クローン体が新しくなった時間』はコンピュータ様がきちんと記録・管理しており、『監視カメラや、記録係のカメラにも時刻表示機能がついている』。よって、此紀―2がカメラの前で『自分はコミーである』とアホ面で自白しても、この映像を理由にZAPできるのは此紀―2だけだ。此紀―3以降になっていたら、その映像単体ではZAP材料になりえない」
此紀「『アホ面』の形容いる?
東雲「このハウスルールによって、カメラの使い方とか、ZAPのしどころで頭使わされるんですよねえ」
刹那「ハウスルールは試行錯誤の結果で固まったものも多い。何度か卓を回してみたんだが、『カメラの映像を全クローンに適用可』にすると、死亡率が高くなりすぎる」
万羽「此紀なんか四六時中プロパ打ってるから、絶対生き残れないわよね」

刹那「さて、感想戦はこんなところか? ではビギナー市民、蘭香から締めの一言を。80年代風に

蘭香「もう『パライノア』はこりごりですわ~!

万羽「面白いのにー」
東雲「ねえ」
此紀「もうちょっと慣れたら、動き方もわかるようになるわよ。じゃ、また次の卓でね」
東雲「(どうせ次もコミーなんだろうな……)」



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