ゆるおに 鬼たちの『パラノイア2』その4

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鬼たちの『パラノイア2』その4
TRPG「パラノイア」を鬼たちが遊ぶ
~第2ゲーム『ブチ殺せ!!! 殺伐!!! ZAPスタイル』その4~



UV刹那―1「ゲーム再開。ブリーフィングが始まるところだ。なお、ゲームオーバーとなったプレイヤーとブレインは、俺と一緒の部屋にいてもらうことになる。他プレイヤーについての情報漏洩なども、引き続き控えてくれ。……あ、テレパシー機能は貸したままにしておくので、そちらで喋ってもらった方がいいな」

典雅「(了解した)」
蘭香「(典雅様と一緒なら、文句はありませんわ)」

UV刹那―1「インディゴがおごそかに話し始めるぞ」

I市民―3「さてトラブルシューターの諸君。君たちはエビを知っているかね」

R西帝―7「いいえインディゴ様」
R此紀―2「見たことも聞いたことも」
R右近―8「もちろん食べたこともありませーん」

I市民―3「……よろしい。レッドクリアランスには開示されていない情報だからな。君たちの中には、違法な情報網を持つ反逆者はいないようだ」

I市民―3「もちろん私も知識でしか知らないのだが、『おいしい食べ物』であるとのことだ。ぜひ食べてみたいので、『エビ』を持ってきてくれ。これが今回のミッションだ」

東雲「難易度振り切ってるやつじゃねえか!」
蘭香「(アルファ・コンプレックスに動植物はいっさいないのでしょう!? 不可能ですわ無理ゲーですわ!)」
典雅「(トラブルでも何でもないね。ただの使い走りだ)」

弥風「(人がクローンなら、エビのクローンとかも作ってるんじゃないのか? 表に流通してなくても、エンプラの違法ショップだかで売ってないのか)」
R西帝―7「(ショップの取り扱い品は回によって変わりますが、さすがに『生物のクローン』は望み薄だと思います)」

R右近―8「(こういうミッションもあるの? アルファ・コンプレックスから外には出られるんだっけ?)」
東雲「(出ることはできるが、親父の残機だとほぼ生還は無理だ。表ミッションは捨てて、結社任務に集中した方がいいかもな)」

R此紀―2「(今まで、刹那が達成不能なミッションを出してくることって無かったわよね? じゃあ、これともなんとかしたらクリアできるってことだわ)」
万羽「(え? このミッションはすごくカンタンじゃない?)」
R此紀―2「

I市民―3「……まあこのように、公的な任務とは言えないのでな。今回はMBDの割り振りなどはない。そのかわり、支給物資もない。ただインディゴの私の要望を叶えないのならば、君たちは反逆者なのだろう

蘭香「(横暴! 公私混同!! ジャイアン!!)」
典雅「(すがすがしいね。変に嫌らしく立ち回るよりも、このくらい正面からカードを切ってくる方が好ましい)」
東雲「こんな無理ゲー、今まであったかなあ」

UV刹那―1「もちろんR&Dにも行かなくていい。インディゴ市民はそのまま部屋を出て行こうとしている」

R右近―8「……あっ、お待ちくださいインディゴ様! お靴を失礼いたしまーす! 具体的にはいつまでのご所望でしょうか!?」

UV刹那―1「(『靴舐め』……もちろん成功だ。実質『情報引き出し係』である右近がゲームオーバーしてから、他の2人がどう情報を掴んでいくかが見どころだな)」

I市民―3「ああ、明日の18時にここで報告をしてくれ。私は多忙でね。あまり時間を割くことはできない」

蘭香「(自分がエビを食べたいから持ってこいと命じておいて、この言い草ですの!? ムカつきますわ!!)」
典雅「(このくらい潔いと、むしろ好みのタイプだな)」

R西帝―7「(任務の性質上、このインディゴもおそらく、ミッションのヒントを知りません。ノーヒントです)」
弥風「(そうだな。上からの命令とかじゃなく、『自分が食いたい』って動機なんだから、ヒントがあるなら言ってるはずだ)」
R西帝―7「(『賄賂欲しさにヒントを出し惜しんでる』という可能性もあるので、パラノイアで効率論はアテにならないんですが、今回に限っては『ミッション自体が私欲』ですからね……)」

R右近―8「(ん? 来る途中、NPCのブルーに、このブリーフィングの情報を調べてもらったわよね? ってことは、少なくともこのブリーフィングは公的なものってことよね? ミッションアラートも鳴ったんだし。それを私欲に使うのって、ZAP対象なんじゃないの?)」
東雲「(……ああー。ここで刹那様のハウスルール『指摘されない限り、監視カメラのデータはチェックされない』って設定が活きてくるんだな。この部屋の中で起きたことは、誰も知りえないってことだ)」
R右近―8「(『指摘されたらチェックする』んでしょ? 『あのインディゴ、ブリーフィングを私的に利用しました!』って告発したらいいんじゃないの?)」
東雲「(ブリーフィングオフィサーがコイツ自身だから、俺たちには『告発する先』のアテがねえ。そのへんのNPCに訴えたとしても、そいつが監視カメラのデータチェック権限を持ってるかどうかは疑問だし、そもそもコイツはインディゴだ。コイツをZAPできるのは、インディゴがヴァイオレットかUVだけ。相当難しいぞ)」
R右近―8「(……)」

R右近―8「(UVの刹那様ー? このインディゴ、ブリーフィングを私的に使ってたわよ! ZAPしなくていいの?)」

UV刹那―1「(……右近も、ゲームマスターである俺が『市民UV』を兼ねることを突いてきたか。ビギナーにしては悪くないが……)」

UV刹那―1「(その発想の柔軟さに免じて答えてやるが、インディゴにはセキュリティ権限がある。……具体的に教えてやると、この部屋の監視カメラの録画は切られているようだな。証拠なき告発には取り合わないぞ)」


東雲「(ああ。じゃあ、どのみち監視カメラは関係なかったのか)」
R右近―8「(……何よそれ!? もー!)」

UV刹那―1「誰も行動がないようなので、インディゴ市民はブリーフィングルームを出て行ったな」

弥風「プレイヤーが3人になったから、個別行動しても三手。問題ないな?」

UV刹那―1「もちろん構わない。プレイヤーが減ったから二手以下で行動しろ、などとは言わないぞ。まあまとめて行動してくれるとラクだが」

R此紀―2「では、お先に。ブリーフィングルームを出るわ」

R此紀―2「(ZAPスタイルなのに固まって動くわけないでしょ。UV様、私は個別行動。万羽と一緒に部屋を移ってます)」
万羽「(まーす)」

R西帝―7「俺たちもブリーフィングルームを出ます」

UV刹那―1「では、西帝と弥風は、此紀たちとは逆の部屋へ行っていてくれ。もしプレイヤー同士の行き先が同じだった場合などは、同じ部屋に移動してもらうことになるが、先に右近を処理する」



R右近―8「(どーする? 表ミッションは捨てるなら、ここで明日の18時まで過ごすのが安全だったりしない? 監視カメラは切ってあるんだし、『21時以降に外出するな』って法もすり抜けられるでしょ)」
東雲「ブルーのNPCがいるビルだから、それはやめた方がいいと思う。見回りに来られたらバレてZAPされる。あと、『カメラが切りっぱなし』って保証もないだろ。ブリーフィングとデブリーフィングの時間だけ切ってあるのかも知れない」
R右近―8「(なるほど。……あ、そもそもここに引き篭もっちゃうと、結社任務にも手をつけられないわね。じゃあ、もうこの部屋は出ちゃって、結社任務にだけ取りかかる感じでOK?)」
東雲「だと思う。『プレイヤー2人きりの場面なら無条件ZAPができる』から、親父の残機なら、此紀様や西帝君と鉢合わせないことを最優先に考えた方がいいな」

R右近―8「じゃあUV様。ええと、……」

R右近―8「……」

R右近―8「(ねえ? ドアの外で待ち伏せされてたら詰んでない?)」
東雲「……おっとマジだな

UV刹那―1「(……)」

UV刹那―1「(だから『パラノイアは先手必勝』だと言うのに。まあ右近はほぼビギナーだし、ブレインの東雲も、此紀や西帝ほどは周回していないから、仕方あるまいが……)」

東雲「素直に『テレポート』取ってりゃよかったなあ。汎用性で言うなら、あれが一番なんだよな」
R右近―8「(『浮遊』取ってから言わないでよ! ZAPスタイルなら『浮遊』が有利って、アンタが言ったんでしょ!)」
東雲「ZAPスタイルだとプレイヤー同士が距離を取るから、発動テリトリーの狭い『メンタルブラスト』や『感応』は要らない。『テレポート』は汎用性が高い分、細かい使い勝手に欠けるから、『浮遊』が安定……って判断は合ってたと思うんだがなあ」

UV刹那―1「(……さて、右近たちには内密に、他の2部屋にテレパスしよう。『ドアの外で待ち伏せ』があった場合、右近をここでZAPしないといけないからな)」

UV刹那―1「(……)」

UV刹那―1「(……ほう?)」

UV刹那―1「ここで水掛け論を繰り返されても進行しないので、ウルトラなヴァイオレット様から耳寄り情報だ。ドアの外に他プレイヤーからの待ち伏せはない

東雲「へえ! チャンスだ親父。仮に『ビルの玄関のところでは待ち伏せしてる』って意味だとしても、まあそれならどのみち詰んでる。ここは早く離れて、2人と鉢合わせないような場所に行くべきだな」

R右近―8「ブリーフィングルームを出るわ。ビルを出られるなら出て、ええと、……端末を開きます。今は何時ですか?」

UV刹那―1「そう長いブリーフィングでもなかったので、14時30分というところだ」

R右近―8「(21時までは外にいてもいいのよね? 結構余裕があるわ)」
東雲「だな。ここから居住区までの所要時間は確認しとけ」

UV刹那―1「ブレイン発言だが、サクサク進行のために答えてやろう。お前たちの居住区はA区にあり、ここからは徒歩で4時間ほどかかる」

東雲「結構かかるなあ。このへんで結社任務に励むとしても、今日動けるのはあと2時間半ってとこか」

典雅「(? ……ああ、私たちにも引き続き、他ペアのテレパシー内容は聴こえないのか。東雲がものすごく独り言を言っているのかと思った)」
蘭香「(でも、東雲さんの声で、右近様のMT能力が『浮遊』だということはわかりましたわ。結社はどこなのでしょうか)」
典雅「(少なくとも、他プレイヤーの護衛任務を受けている、ということはなさそうだね。そうだとしても、ZAPスタイルではかなり難しいと思うけど)」

蘭香「(右近様や東雲さんはデスレパなどがお好きそうですけれど、難しいところですわね……。あ、思ったのですが、ロマンテクスなら、今回の結社任務は表ミッションと兼用ということになったりしませんか?)」
典雅「(なるほど。エビは『旧世界の遺物』でもあるという解釈か。結社にも持ち帰る必要があるから、その場合は2匹のエビが必要になるけど。……でも、ロマンテクスを選ぶプレイヤーはそこまで見たことがないな。結社特典も『スキル:旧世界文化』と、パッとしないし)」
蘭香「(えっ。なんとなくステキな感じがして、選んでしまいました……)」

UV刹那―1「(俺もプレイヤーのときはロマンテクスを選ぶことが多いぞ。なんとなくステキな感じがするので)」

典雅「(おっと。雑談にも入ってくるのか)」
蘭香「(おじいさまは『俺以外にゲームマスターをやれる者が少ないので、なかなかプレイヤーとしては入れない』と嘆いてらっしゃいましたわね)」

R右近―8「UV様? 端末で地図を見ています。ここから最寄りの公園までの所要時間と、あとその公園から居住区までの所要時間を、改めて調べます」

UV刹那―1「公園はすぐそばにあるので、時間経過なしで移動して構わない。よって帰路も4時間から変化なしだ」

東雲「お、ラッキー」
R右近―8「じゃあ公園に移動しまーす」

UV刹那―1「市民右近は、B地区東側の公園に到着した。おっと、市民西帝……というか、弥風の呼び出しだ。向こうを先に処理してくるので、市民右近とブレイン東雲はここにいるように。蘭香と典雅はついてきてくれ」

典雅「(行くよ。UV様も大変だね)」
蘭香「(ちょっとした運動になりますわね)」



UV刹那―1「さて。市民西帝が訪れたのは……B地区の裏通りだな。ここでどんな悪いことをするんだ?」

R西帝―7「……物を売っていそうな店がないか探します。『隠密』で、目立たない店も見つけ出します」

UV刹那―1「成功だ。市民西帝は、目立たないよう店を構えている、エンプラ結社員が経営する違法ショップを見つけた」

弥風「他のプレイヤーが『隠密』とか、MT能力の『形態変化』でそのへんにいたら……まあいいか。右近はあの残機で撃ってこないだろ。此紀ならもうプロパを打ってきてる。入れ」

R西帝―7「では……その店に入ります。商品リストを見せてください、と店内に声をかけます」

UV刹那―1「グリーンの店員が、ダルそうにリストを見せてくれたな」

【食品】
『ヤバくて死にそうな固形食;黒』1クレジット
『まあまあ安全だが味は微妙な固形食:赤』10クレジット

【雑貨】
『ヘアピン』20クレジット
『倫理的に問題がある写真:男性向け』40クレジット
『倫理的に問題がある写真:女性向け』40クレジット
『電子読本:海の生き物』200クレジット

【武器・装備品】
『レーザー銃:白』10000クレジット

典雅「(いかにも違法ショップらしい商品リストだ)」
蘭香「(『ヘアピン』ちょっとボッタくっていませんか?? 公認ショップでは10クレジットだったはずです。わざわざ違法店で、高い価格で買う意味がわかりませんわ)」

UV刹那―1「(ああ、それはな、)」

弥風「ヘアピンが高いのは……ああ。公認のショップには、まあ監視カメラがついてるんだろうな。記録に残らない買い物をしたいなら、多少高くついても違法ショップに来るってことだな」

UV刹那―1「(……ということだ)」

弥風「『電子読本:海の生き物』って、またいかにもだな。まあ、買っとけ」
R西帝―7「え?」

蘭香「(200クレジットのものを買えるということは、結社特典が『初期クレジット+200』のイルミナティ所属ですわね! 他の結社なら、所持クレジットは100ですもの)」

R西帝―7「(弥風様、クレジットが足りません。『手先の早業』にもスキルポイントを振っていないので、盗むのも難しいかと。店員はグリーンなので強盗もできませんし……あっ、まず『レーザー銃:白』を奪って、それから強盗ですか?)」
弥風「お前の筋力なんだから、強盗は無理だよ。そもそもレーザー銃を奪えるなら、読本を奪うのも同じ扱いだろ。データだから本は盗めない、とかいう話かも知れんが」

典雅「(筋力なのか)」
蘭香「(どおりで、典雅様を突き飛ばせなかったはずですわ。典雅様の筋力は18でしたものね)」
典雅「(頑健な肉体も、レーザー銃には敵わなかったけどね)」

弥風「『偽造』で100クレジット作れ。どうせ額が上がるほど目標値が絞られるだろうから、あとは自前の金を出す」
R西帝―7「(『偽造』でクレジット作ろうとする大悪党はじめて見た)」

R西帝―7「(……UV様、それができるならお願いします!)」

UV刹那―1「(…………可能だ。実は、此紀などもこの技を知っているのだが、あいつ以外で繰り出すやつ初めて見た。……ダイス『成功』。市民西帝は100クレジットを手に入れた)」

R西帝―7「では、電子読本『海の生き物』を購入します。ここで読んでいきます」

UV刹那―1「市民西帝の端末に、違法書籍のデータが送られた。なお、このデータは任意のタイミングで消去できる。『海の生き物』の内容は以下だ」

~電子読本:海の生き物~

『イカ』
白い。おいしい。

『エビ』
ゆでると赤くなる。おいしい。

『ブラックタイガー』
ゆでると赤くなる。おいしい。

『タイガー』
海の生き物ではない。

蘭香「(レッドの2ヶ月分の給与額でこんなどうしようもない本を売っているのですか……)」
典雅「(まあ、一応はエビについての情報量が増えたね)」

弥風「……」
R西帝―7「(これは俺に責任はないですよね!?)」

弥風「……残機は3ある。……」

弥風「いいぞ西帝。いい買い物をした。本のデータは消すな。そのままにしておけ」
R西帝―7「(!? ……本もこのままですか? 違法書籍ですから、保存しておくことにはリスクしかないと思いますが……)」

弥風「構わない。あとはもう家に帰れ
R西帝―7「(? ……)」

R西帝―7「UV様、明日に備えて居住区の自室に戻ります。あ、端末で地図を開いて、ここから居住区までの時間も調べます。21時までに戻れない場合、交通手段を探します」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「4時間で戻れる。……市民西帝はA地区の自室へ戻った。4時間が経過し……行動時間を計上して、現在時刻は19時だな」

典雅「(……この本を買っただけで帰ってしまうのか。表ミッションは諦めることにした、ということかな)」
蘭香「(それにしても、結社任務にも取り掛からないのはよくわかりません。西帝さんは周回プレイヤーですし、弥風様も……何かお考えがあるとは思うのですが……?)」

UV刹那―1「……市民西帝は翌日17時まで行動なしということなので、市民右近の様子でも見に行くか」

典雅「(……? 居住区からブリーフィングルームまで約4時間。ブリーフィングは18時。翌日17時まで行動なしだと、ブリーフィングに間に合いさえしない)」
蘭香「(……???)」



UV刹那―1「UV様だ。B地区東側の公園に……14時30分だな。市民右近が到着したところだ」

R右近―8「公園内を見回して、公認ショップがある場合、その近くへ向かいます。店員のクリアランスも確認しまーす」

UV刹那―1「ショップはある。店員はオレンジだ。原則として、公認ショップの店員にはイエローかオレンジが多いぞ」

R右近―8「公園とショップの、それぞれの監視カメラの位置を確認します。……もちろん、お優しいコンピュータ様は、完璧に安全に市民の暮らしを見守っていてくださるでしょうけど」

UV刹那―1「公園の監視カメラは、公園全体を俯瞰している。コンピュータ様による完璧な配置により、死角はない。そのため、ショップに固有のカメラというものはない」

典雅「(こちらも店に来たね。合法ショップだが)」
蘭香「(カメラの位置を確認しているということは、窃盗でしょうか? もしくは強盗でしょうか? オレンジを相手に強盗は厳しいような気もしますが……)」
典雅「(蘭子、もう一人前のパラノイアプレイヤーの目になったな)」

R右近―8「ショップの商品が、買う前にも手に取れるタイプの場合、『歯ブラシ』をチェックしたいです。新しい歯ブラシが欲しいと思ってたのでー」

UV刹那―1「まあ……いいだろう。雑貨に関しては、購入前にも手に取ることができる」

R右近―8「(『違法改造』で、手に取った歯ブラシを爆弾に改造。5分後に、そうね半径5メートルを吹っ飛ばせりゃいいわ。ワンチャン『手先の早業』で、それが店員の目に見えないように)」

UV刹那―1「(……お。ギリギリ成功だ。歯ブラシは『爆弾』になり、『手先の早業』によってオレンジ店員はそのことに気付かなかった)」

R右近―8「よし! ……と頷いて、歯ブラシを店に戻します。自分の買い物なんかより先に、インディゴ様のミッションに取り掛かるべきだと判断したわ! 公園から走って出て行きまーす!」

典雅「(……歯ブラシを吟味しただけだったね。そう見えるだけで、何か細工をしたんだろうが)」
蘭香「(歯ブラシを爆弾にでも改造なさったのでは? ショップを爆破する気なのでしょう)」

UV刹那―1「市民右近が公園から走り去った約5分後に、公認ショップが爆発した。オレンジの店員と商品は粉々に吹き飛び、巡回ボットが清掃に来たな」

蘭香「(やっぱり。このチームは比較的、行動がわかりやすいですわね)」
典雅「(……)」
UV刹那―1「(蘭香がパラノイア擦れしてきたな……)」

R右近―8「イエア
東雲「フゥー

R右近―8「端末を開きまーす。UV様、さらに最寄りの公園をピックアップしまーす。もちろん今の公園じゃないところで」

UV刹那―1「……同B地区の西側に、同規模の公園があるな。徒歩30分ほどだ」

R右近―8「そこに移動して、まったく同じことを繰り返しまーす!」
東雲「そのシンプルさにしびれるぜ!!

典雅「(デスレパ)」
蘭香「(デスレパ)」

UV刹那―1「……『手先の早業』のほうが失敗。店員の目に留まってしまったため、『違法改造』を行っていたことも連動してバレる。オレンジ店員が橙色のレーザー銃を取り出した」

R右近―8「そっと構えてた『ロケットランチャー』で迎撃しまーす!」

典雅「(デスレパだね)」
蘭香「(知っていました。このロケットランチャーは、きっとデスレパの結社特典『大量破壊兵器』ですわよね)」

UV刹那―1「ロケットランチャーをそっと構えることは不可能だが、別に『そっと』は不要なので、まあロケットランチャーで迎撃成功だ。とはいえ、ほぼ相撃ちであったのと、ランチャーの炸裂に巻き込まれたのとで、右近は死亡したが」

R右近―9「(残機が0ってわけじゃないもんね! 死なばもろともよ!)」
東雲「髪巻いてる女のボキャブラリーじゃねえって」

R右近―9「UV様ー。アタシたちの居住区に一番近い公園って、どのあたりの位置にありますか? そこに公認ショップは設置されてますか?」

UV刹那―1「ここから徒歩4時間。居住区までは近いので、時間経過なしで到着できるな。ショップは設置されている」

R右近―9「じゃあその公園へ移動。そこのショップで『安全でおいしい食料:赤』を20クレジットで購入したら、明日の完璧なトラブルシューティングに備えて、もう居住区の自分の部屋に帰って寝まーす!!

東雲「これで結社任務は達成したからな!」

R右近―9「明日の昼12時まで寝て、食事しまーす」

UV刹那―1「……おっと。市民此紀の行動も終了している。全プレイヤーの本日の行動が終了したため、時間を進める。最速で行動するのは……やはり右近なので、こちらから処理を済ませていこう」



UV刹那―1「翌日、昼12時。右近は『安全でおいしい食料:赤』を消費し、空腹状態がリセットされた」


R右近―9「うん? 此紀と西帝は昼12時に行動なし……食事もなし。ってことは、少なくとも12時の時点では空腹状態ってこと?」
東雲「UV様のアナウンスは『本日の行動が終了』だから、たとえば23時59分に飯を食ってたら、次の日いっぱいまでは空腹にならないぜ。空腹状態の開始は『最後の食事から24時間』だからな」
R右近―9「ああ、OKOK。アタシの行動が夕方くらいに終わったからって、他のチームがそうとは限らないのね。他が『23時59分で行動終了』からの、刹那がこっちの部屋に来たかもしんないってことか」

R右近―9「『レッドのトラブルシューターは全員が同じ居住区に住んでる』んだっけ? じゃあアタシのヤサも割れてるから、あいつらが襲撃してくる可能性ある?」
東雲「ヤサが割れてるってオッサンでもそうそう言わねえだろ。襲撃の可能性はあるが、それなら昨日の夜でも今日の朝でも、もっと早い時間に来てていいからな。外で事故起こすよりは、時間ぎりぎり……14時まで家にいた方がいいと思うぜ」

R右近―9「じゃUV様、アタシは14時に家を出て、ブリーフィングルームに向かいます」

蘭香「(右近様はヤサで時間ぎりぎりまで過ごすようですわね)」
典雅「(このチームも表ミッションは諦めたのかな。多分、全員が諦めてるとは思うが……西帝と弥風の『17時まで行動なし』が気になるな)」

UV刹那―1「……市民右近は何事もなく、18時にブリーフィングルームに到着した。ビルの玄関ドアはきのう謎の爆発によって壊れたので、素通りできる。他を処理してくるので、ここで待機していてくれ」

R右近―9「あら? フーン……」
東雲「西帝君は親父とどっこいどっこいの残機だからともかく、此紀様も仕掛けてこねえのか。……」



UV刹那―1「さて、此紀チームの行動開始は14時。……空腹状態だが、承知しているな?」

R此紀―2「もちろん。このまままっすぐブリーフィングルームへ向かうわ

UV刹那―1「……お前は昨日、ブリーフィング終了後に直接『テレポート』で自分の部屋に戻り、それからずっとここで過ごした。つまりお前はブリーフィングから何もしていない。食事もしていないため、所持品に変化もない

R此紀―2「わかってるわよ。自分の行動なんだから。ね」
万羽「ね~」

典雅「(……? 西帝チームに増してわからないね。此紀は残機に余裕もあるし、どんな行動でもできただろうに)」
蘭香「(このチームだけ行動説明が密室トリックみたいになっていますわ)」

UV刹那―1「……市民此紀はブリーフィングルームに到着した。時刻は18時だ」

R此紀―2「あら。今回は玄関ドアを素通りなのね」
万羽「デブリーフィングの時は、『ブリーフィングに来られたトラブルシューターなら信用できる』ってことで、ブリーフィングオフィサーが顔パスさせてくれることも多いわよね」
R此紀―2「今回のオフィサーはエビ食べたいでしょうしね。このままブリーフィングかしら?」

UV刹那―1「……いや。右近はブリーフィングルームに到着しているが、西帝は18時の行動が決定していない。そちらを処理してくる」



UV刹那―1「さあ、弥風の悪だくみを見せてもらいに来たぞ。なお、西帝は最後の食事から24時間以上が経過しているため、空腹状態だ」

典雅「(もはや刹那も、弥風の悪さを少し楽しみにしているな)」
蘭香「(でも、確かに気になります。此紀様もわかりませんが、このチームの行動も不可解です)」

R西帝―7「まず端末から昨日のヴァイオレット市民に連絡を取り、カーで迎えに来てもらいます
弥風「『何かあったら連絡してくれ』って言ってた以上、連絡先は聞いてるはずだ。ハイパーなカーだから、まあすぐ来るだろ」

UV刹那―1「……10分後、西帝の友、ヴァイオレット市民が運転するハイパーヴァイオレットカーが居住区まで迎えに来た」

典雅「(ああ……確か、昨日ブリーフィングビルまで西帝を送ってきた、紫の車か)」
蘭香「(便利なアッシーをお持ちですわね)」

R西帝―7「友であるヴァイオレット市民に頼みます。『このまま昨日と同じビルまで送ってほしいのだが、任務に励んでいた俺はたいへん空腹です。途中で食料を購入したいので、適当なショップに寄ってもらえますか』」
弥風「結社任務に励んでた友のためだからな。そのくらい聞いてくれるだろ」

V市民―1「もちろんさ、レッドの友人よ! すぐそばの公園に寄ろう。ファッキンコンピュータの公認というのは気に入らないが、安全な食料を売っている店があるからね」

UV刹那―1「まあカーは速いので、時間経過なしでいい。ヴァイオレット市民は、公園にカーを停めてお前たちを待っていてくれるようだ」

典雅「(西帝の結社員か。反コンピュータで、NPCが親しい……というと、あの『パージ』という結社のような感じだね)」
蘭香「(結社特典『NPCに味方が多い』というのがピンと来ませんでしたけれど、こういう使い方ができるのなら便利ですわね)」

UV刹那―1「西帝の所持クレジットは0なわけだが、ヴァイオレットに借りたりしなくていいのか」

弥風「NPCがそこまでしたらバランス破壊とかで、あのヴァイオレットはせいぜい『足』って設定なんだろ。その範疇を超えるような無理を言ったら機嫌を損ねて、カーも使えなくなったりするんだろうから、そこまでは頼まない」

UV刹那―1「なんなのその完璧なバランス読み? そうだけど? そこまで言ったら、あのヴァイオレットだって機嫌を損ねる設定だったけど?」

R西帝―7「『偽造』で40クレジットを製造します」

典雅「(また通貨偽造をしてる……)」
蘭香「(何と言うのでしょうか? 愉快犯的な右近様チームとは違って、こちらはすべてが合理的な悪事という印象なので、なんだかより冷酷な感じがします……)」

UV刹那―1「……成功だ。西帝は40クレジットを手に入れた」

典雅「(食料は20クレジットだったはずだけど、多めに偽造したな)」
蘭香「(そうですね。他にも購入するものがあるのでしょうか?)」

R西帝―7「ショップで『安全でおいしい食料:赤』を2つ買います。そして、1つはこの場で食べます」

典雅「(ん? ヘアピンあたりを買うのかと思ったが……)」
蘭香「(『安全でおいしい食料』の空腹判定は失敗しないはずです。どうして2つも?)」

UV刹那―1「……安全な食料なので、判定なしで成功だ。西帝の空腹度はリセットされた」


R西帝―7「カーに戻り、あとはブリーフィングビルまで直行してもらいます。もちろん感謝も忘れません」

V市民―1「いいのさ! このくらいならば、お安い御用さ! このくらいならば、ね! 君たちには期待しているよ!」

蘭香「(そういえば、典雅様もブルーの女性ドライバーに送っていただきましたわ。プロパで洗脳したりしなくとも、NPCは『足』にくらいはなってくださるんですのね。……このヴァイオレットのドライバーはちょっと暑苦しい方ですけれど)」
典雅「(そうか? 私は好みのタイプだけど)」

UV刹那―1「カーは速いので、まあ……17時30分くらいにはブリーフィングビルの玄関前に着いたな。カーはさわやかに走り去った」

弥風「TRPGはプレイヤー主体のトークゲームだから、NPCを使い倒すのは主旨に反するんだろ。おのず、使える幅には限度がある。そのくらいのことはわかるよ」

UV刹那―1「もうお前くらいになるとさとりのおばけだな。他のプレイヤーのテレパシー読み取ったりしてないだろうな?

弥風「そんなことができたら、残機3なんて体たらくにはなってないよ。西帝、『セキュリティ』でダイス振ってドアロック解除」

UV刹那―1「ん? お前にしては珍しい物忘れだな。ビルの玄関ドアはきのう爆発しただろう。素通りできるぞ」

弥風「は? クローンの死体をすぐ片付けて、すぐ新しいのを送ってくるようなハイテク近未来なのに、一両日あってもドアが直ってないのか? そこまで復旧作業に時間が掛かるんなら、あらゆる破壊系の結社があちこちを爆破しまくって、あっという間に取り返しがつかなくなるんじゃないのか? 世界観が矛盾してないか?」

UV刹那―1「………」

UV刹那―1「うるせえ! じゃあドアは直ってるが、カニ食いたいインディゴがお前らを顔パスさせるように言ってあったんだよ!」

弥風「? それがすぐ出てくるんなら、最初からそう言えばいいだろ」

UV刹那―1「(うるせえな! 此紀と万羽の考えをパクッたんだよ!!)」

典雅「(『どんなに理不尽なアナウンスであろうと、UV様に文句をつける者は許されない』という世界観に、『ゲームに関知しない』というブレインの立場から意見して、UV様に設定変更を強いた……)」
蘭香「(UV様より強い……)」

弥風「あと、カニじゃなくてエビだろ」

UV刹那―1「じゃっかましいわ!! もうブリーフィングルームに着け!! 着いた!! 18時まで時間を進めるから、全プレイヤー集まれ!」

弥風「僕たちにはあと30分あったのにな。横暴なゲームマスターだ」
R西帝―7「(弥風様、そのくらいで……。ゲームマスターは仕事が多いんです……たまには整合性が取れなくなることもあります……)」



UV刹那―1「……ハイ、18時のブリーフィングルームだ。3名のトラブルシューターが揃っている。インディゴ市民も現れた」

I市民―3「やあ、揃っているな。今回のエビ、いや、トラブルシューティングの成果を聞こう」

R右近―9「……高貴なるインディゴ様ー! 我々レッドの情報網ではどうしても『エビ』なるものに辿りつけず、ご希望はかなえられませんでした!! とメッチャ靴を舐めるわ!!!!」

UV刹那―1「お前の『靴舐め』は数値的にほぼ自動成功だ。インディゴは少し眉をひそめたが、それほど気分を害してはいないようだ」

I市民―3「……まあ、インディゴの私でさえ、今まで見たこともないものだ。レッドの君が入手できないのも無理はない」

R右近―9「その通りです! 法を守る健全で完璧なレッド市民なので!」

典雅「(右近は早々に表ミッションを諦めていたが、とてもわかりやすい切り抜け方を選んだな)」
蘭香「(靴舐めゲーですわね。スネ夫戦法という感じですわ。……ですが、地味に隙がありません。『レッドには開示されていない情報』と、インディゴ自身が言っておりましたからね)」
典雅「(此紀や西帝は、おそらく上位クリアランスを懐柔するスキルを持っていない。プロパで洗脳できるのもイエローまで。2人はどう切り抜けるのかな)」

I市民―3「他の2名も同じかね? エビは見つからなかったか」

UV刹那―1「やや残念そうに、インディゴがそう言っている。まあ、この流れに乗れば許してもらえそうだが?」

R西帝―7「エビを差し出します
R此紀―2「エビを差し出すわ

典雅「ん? 西帝のブリーフィングから今日17時までの行動と、今日17時からの行動は全部見てるが、エビなんか持っていないよな。違法ショップであの本を買ったくらいだったはずだ」
蘭香「そちらもそうですし……此紀様に至っては『ブリーフィングから直帰して、何も行動していないし、所持品も変わっていない』とアナウンスされました。西帝さんの所持品といえば、確か……?」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「市民西帝と市民が差し出したのは、ともに『安全でおいしい食料:赤』だった」

典雅「(……?)」
蘭香「(エビは?)」

弥風「ふん。まあ、そうだろうな」
万羽「インディゴだって『エビ』を知識でしか知らない以上、これがエビだって言い張られたら、『違うそうじゃない』って言えないはずだもんねー」
東雲「そんなのアリですか? 言い張ったもん勝ちってことですか?」

R此紀―2「(……私にこの発想はなかった。万羽がこれを即時に思いついたとき、おそろしい子……!って顔になったわ)」

R此紀―2「(詰め将棋が速い女の発想ね。『本物のエビを入手するのは無理』=『別のものをエビだと言い張るのが正解』。おそらく、これが最適解)」

R西帝―7「(……此紀様も気付いたようですね)」
弥風「(ああ。……此紀は昨日の時点でクレジットを使い切ってた。あいつも『偽造』でクレジットを作るか、『手先の早業』で盗んだか、あるいは今出した食料が、昨日の時点で買ったやつだったか。この場合、あいつは空腹状態ってことになるが、どれも確率は同じようなもんだな。空腹だからってプロパの威力が落ちるわけじゃなし)」

UV刹那―1「インディゴ市民はそれを受け取ったが、釈然としない表情だな」

I市民―3「私にはこれがどう見ても、君たちレッドの固形食にしか思えないのだが。私をバカにしているのかね?」

R此紀―2「そんなはずはありません、インディゴ様。これはエビなのです。間違いありません!」

東雲「まったくエビじゃないものを『エビだ!!』って言い張れるツラの皮、すげえな」
R右近―9「(その発想はなかった。此紀と弥風が同じことを選んだ以上、正解なんでしょうけど)」

弥風「……」

弥風「此紀はそう言い張るだけか? なら、このミッションはこっちがもらったな」
万羽「え? あんただって言い張るしかないでしょ?」
弥風「君も詰めが甘いな。……西帝、行け

R西帝―7「……インディゴ様。俺は市民此紀と辿り着いた結論こそ同じでしたが、こちらはこれが『エビ』だと確信する根拠があります。根拠を提示しない市民此紀は、『何も考えずに手持ちの食料を持ってきて、インディゴ様を騙しおおせようとした』のだと思いますが」

R此紀―2「は? 根拠?」

R西帝―7「完璧な市民である俺が、『これがエビだ』と確信した証拠品を提示!! これです!!!」

UV刹那―1「と逆転裁判のように、市民西帝は……自分の端末を差し出したな。画面に表示されているのは、違法書籍のようだ」

万羽「? 違法書籍持ってるわよ。ZAPしないの?」
R此紀―2「……ちょっと様子を見る。…………。……書籍の内容によっては、……私の怠慢だわ。違法ショップくらいは覗いてみるべきだったわね」

R西帝―7「『電子読本:海の生き物』から、『エビ』の項目をピックアップ! 『ゆでると赤くなる。おいしい』と書いてあります。エビとは『赤くておいしいもの』! つまり、その両方の要素を満たす『安全でおいしい食料:赤』が、エビで間違いありません! 違法書籍を購入したことについて、まったく気が咎めてはいません! インディゴ様のために最善を尽くすのが完璧な市民の義務! 俺はインディゴ様のために汚らわしい違法ショップにまで足を踏み入れたのです!」

R右近―9「(アリなのー!? 違法じゃん!)」
東雲「(……! インディゴはセキュリティ権限を持ってて、ブリーフィングを私的に横取りした。……監視カメラは切ってあるんだろうし、録画してたとしても、ブリーフィングを横取りしたインディゴには、その映像をどこにも出せねえ。つまりこのブリーフィングルームは無法地帯だ。インディゴの機嫌を損ねたら気まぐれZAPをされるが、そうでなきゃ、何をしても許される)」

弥風「最適解はインディゴの機嫌を取ることだ。こっちは物的証拠つき」

R此紀―2「(……おそらく弥風が正解。ここで西帝をZAPすると、『より頑張ったトラブルシューター』を殺されたインディゴが怒って、こっちをZAPしてくる。角換わりね)」
万羽「(よーするに『俺はあなたのために、犯罪にまで手を染めました』って言ってご機嫌を取ってるのよね? なんかずるいー!)」

UV刹那―1「……西帝が有効だ。インディゴ市民は嬉しそうにしている」

I市民―3「そうか、市民西帝。少し想像していたものとは違うが、これがエビだというなら、そうなのだろう。本来なら犯罪者は即処刑だが、君は私のために全力を尽くしてくれたということだろう。今回に限り、目をつぶろうじゃないか」

典雅「(『口車で切り抜けた者勝ち』というのは、TRPGの醍醐味だからね。随分難しいミッションだと思ったが、こういう意図だったのか)」
蘭香「(ゲームオーバーになっていてよかったかもしれませんわ。典雅様はこのような厚顔無恥さをお持ちでありませんもの)」

R此紀―2「……」

弥風「……」

弥風「なんとなくおかしいとは思っていたが。ここでZAPしてこないなら、理由はひとつしかない」

弥風「此紀。お前、今回はコミーじゃないだろ」

R此紀―2「……」
万羽「……」

R西帝―7「(此紀様がコミーじゃない?)」

弥風「この残機差だ。此紀は『プロパ打ってインディゴからZAPされて、新しいクローン体で西帝と右近にコミーである自白を迫ってインディゴにZAPさせて、またプロパを打つ』……これを繰り返せば、西帝と右近が残機0でコミーになって、此紀は自動的に女王に君臨できる。……ここで西帝を攻撃して来ないなら、此紀は『自分の残機を惜しんでる』。プロパ延々ぶっ離しという勝ち筋があるなら、ここで残機を惜しむ意味はない」

東雲「……それか。俺もおかしいとは思ったんですよ。親父の残機で、デブリーフィングでプロパ打たれたら、どう頑張っても詰んでるんで。打って来ないのは何なんだろうと思ってた」
R右近―9「(えーと。逆説詰めか。『コミーならプロパぶっぱで勝ってる=ここでプロパぶっぱをしないならコミーじゃない』ってことね)」

R此紀―2「(……ドアは電子ロック。受付にブルー。インディゴにはおそらくセキュリティ権限がある。『テレポート』を取っているけど、空腹状態だから、成功するかどうかは……)」
万羽「(逃げるのは難しそうね。でもまあ、別にいいんじゃない?)」

弥風「西帝はすでに表ミッションも結社任務も達成したから、此紀がコミーでないなら、此紀の残機数なんかどうでもいいんだが」

弥風「でもやれ。西帝」

R西帝―7「……ZAPZAPZAP此紀様! そしてZAPZAPZAP右近様! インディゴ様から言いつかったミッションで、すべての力を尽くさなかった怠慢な反逆者!」

蘭香「(? 弥風様の仰ったことが事実なら、西帝さんはすでに結社任務も完了しているのですわよね? なぜここで他プレイヤーを撃つのでしょうか?)」
典雅「(インディゴの機嫌取りと、あとは多分……此紀のクリアボーナス削りだね。残機数に応じてクリアボーナスが増える。弥風はとにかく此紀を負かしたいんだろう)」

R此紀―3「(ケチな残機削りを……。西帝に近付いてMT能力『感応』を発動、西帝の自我を乗っ取るわ)」

UV刹那―1「(ダイスを振る。……失敗だ。此紀は空腹状態であるため、MT能力が減少している。すでに2回の『テレポート』で消費もしているしな)」

R此紀―3「……!」

R此紀―3「(クレジットを偽装して、あるいは盗みで、食料を手に入れることもできたけど……別に空腹状態でも関係ないから、ダイス失敗で残機が減るリスクを避けた。……その判断が間違いだったってことね)」
万羽「(残機的にはそーね。『あとは自動的に勝てるから、無駄なリスクは犯さない』って考え方がよくなかったわね。残機に余裕があったんだから、それこそ『戦術的角換わり』で、別に1回や2回死んでも、食事はしておい方がよかったわねー)」
R此紀―3「(あと20クレジットあったら、確実に食事してたわ。……慎重になりすぎて、いちばん最初にショップで買い物をして、クレジットを使い切ってしまった時点で、もう最善ではなかったわね。あの時点で『食料がもう1つ必要になる』という事態は想定してなかった)」

UV刹那―1「市民此紀は眩暈を起こして、その場に倒れた」

R右近―10「(これは? 何かのダイス失敗?)」
東雲「(反動がデカい。たぶんMT能力の発動失敗だな。……親父は残機がもうねえし、結社任務も達成してるから、ここは大人しくしとこうぜ)」

R西帝―7「倒れた? ZAPZAPZAP此紀様。 健康は完璧な市民の義務です。何か反逆的なことでも目論んでいたのでしょうね」

R此紀―4「……」
万羽「(でも残機は余裕よ。あとはこのまま終わるのを待ってたらいいもんね)」
R此紀―4「(もう一度MT能力『感応』を使用。対象を西帝で)」
万羽「(なんでー?)」

UV刹那―1「(……失敗だ。空腹状態なのが痛かったな。食事をしていれば問題なく発動できただろうに)」

R此紀―4「(そもそも私は結社任務を捨ててたのよ。だから空腹状態なんかどうでもいいと思ってた。西帝が表ミッションを持って行って、結社任務を達成済みだとは思ってなかった)」
万羽「(別にそれでもいいじゃない? 表ミッションは『全員の手柄』って扱いなんだし、此紀はたくさんの残機で生き残れるんだから)」
R此紀―4「(西帝に……弥風に、クリアボーナスで負けたくないのよ!! 表ミッションを持って行かれたっていうのは、『表ミッションでの手抜かりを理由に西帝をZAPできない』という意味! だから私が結社任務を達成して、あわよくばあいつの残機も削る!)」
万羽「(此紀? あんたそういうところよ?)」

UV刹那―1「市民此紀は天丼で、その場にもう一度倒れたな」

R西帝―7「ZAPZAPZAP此紀様。理由は同じです。天丼お疲れ様です」

弥風「此紀の結社任務が成功していたとして、そのクリアボーナス1点、生存終了でもう1点、残機ボーナスが2.5点、表ミッションが成功してるからでさらに1点で、合計5.5点。……西帝は結社任務達成で1点、表ミッションで1点、生存で1点、残機ボーナスが1.5点……4.5点か。もう少し此紀の残機を削っておきたいところだな」

R西帝―7「(MT能力『感応』を発動。対象を此紀様で、意識を乗っ取ります)」

UV刹那―1「……市民此紀は意識がふっと遠のいたな。何者かに意識を乗っ取られたような感覚を持つ」

R此紀―5「……!」

R西帝―7「(もちろん『自分はコミーである』と口走ります!!)」

UV刹那―1「市民此紀は『自分はコミーだ』と口走った」

I市民―3「コミーだったのか。じゃあ処刑だ」

R此紀―6「……」

弥風「これで此紀は5点。……まだ多い。4点になるまで減らせ。此紀の残機を2まで削れ

R此紀―6「(MT能力『テレポート』で逃げる!)」
万羽「(別にいらないリスクだと思ったけど……どうせここにいても潰されるなら、もう逃げきってもいいかもね)」

UV刹那―1「(バッドラックだな。……失敗だ。教えてやると、お前のMT能力の残りは8。ここに空腹補正がかかって、目標値は5だ。つまり成功率は4分の1)」

UV刹那―1「市民此紀はものすごい勢いで飛び上がり、天井に頭をぶつけて死んだ。天井のある場所で『ルーラ』を使ったときのアレだな」

R西帝―7「(『浮遊』か『テレポート』の失敗ですね)」
弥風「4.5点か。多い多い。まだ削れ

R西帝―7「(もう一度『感応』からの乗っ取り自白を繰り返します)」

UV刹那―1「……市民此紀はまたしても『自分はコミーである』と自白したな」

R此紀―7「芸がないわね!!!」

I市民―3「またコミーだったのか。処刑」

R此紀―8「……」

弥風「4点。西帝がこのあとZAPされた場合に備えて、もう1度だけ殺しておくか
R西帝―7「(もう一度だけ『感応』からの天丼をやります!)」

UV刹那―1「……」

UV刹那―1「(……成功だ。西帝の初期MT能力は16。身体がモヤシのぶん、MT能力には恵まれたな……)」

UV刹那―1「市民此紀は今一度『自分はコミーだ』としみじみと噛み締めるように言ったな」

I市民―3「またコミーだったのかよ。処刑」

R此紀―9「……こんなことある?」

R右近―10「(……)」
東雲「(なんか見ちゃいけないもん見てる気がする……。一方的な暴行だ……)」

典雅「(虐殺だな)」
蘭香「(それも快楽虐殺ではない、成績狙いの堅実な虐殺です。……そのほうが怖いですわ!)」

弥風「よし。これでいい」

I市民―3「……もう報告はないか? ならば、以上でデブリーフィングを終了する!」



表ミッション:達成


此紀
生存(残機1)
所属結社:サイオン
MT能力:テレポート+感応
結社任務1【両方のMT能力の発動を成功させる】失敗
結社任務2【他プレイヤー1名以上のMT能力を見る】達成
クリアボーナス:ミッション達成1+生存終了1+残機ボーナス0.5……合計2.5点

典雅
死亡
所属結社:フリー・エンタープライズ
MT能力:テレポート
結社任務【所持金を300クレジット以上にして終了する】失敗 →死亡により自動失敗
クリアボーナス:死亡終了により無し

右近
生存(残機0)
所属結社:デス・レパード
MT能力:浮遊
結社任務1【2カ所以上の公的施設の破壊】達成
結社任務2【公的施設従業員の殺害】達成
クリアボーナス:ミッション達成+1+結社任務達成1+生存終了+1……合計3点

西帝
生存(残機3)
所属結社:パージ
MT能力:感応
結社任務1【公的施設の電子ロック解除】達成
結社任務2【公的施設の破壊】達成
クリアボーナス:ミッション達成1+結社任務達成1+生存終了1+残機ボーナス1.5……合計4.5点


その5へ つづく






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